プライベートリンクエンドポイント - AWS PrivateLink vs Azure Private Link

AWS PrivateLink と Azure Private Link のプライベート接続機能を比較し、VPC エンドポイントの種類、対応サービス数、料金体系、セキュリティモデルの違いを具体的に解説します。

プライベートリンクの基本概念と AWS PrivateLink のアーキテクチャ

プライベートリンクは、パブリックインターネットを経由せずに AWS サービスやサードパーティサービスへプライベート接続を確立する技術です。AWS PrivateLink は VPC 内にエンドポイントネットワークインターフェース (ENI) を作成し、プライベート IP アドレスを通じてサービスにアクセスします。この仕組みにより、トラフィックは AWS のバックボーンネットワーク内に留まり、インターネットゲートウェイ、NAT デバイス、VPN 接続を必要としません。AWS では VPC エンドポイントとして、インターフェースエンドポイント (PrivateLink 経由)、ゲートウェイエンドポイント (S3 と DynamoDB 向け)、Gateway Load Balancer エンドポイントの 3 種類を提供しています。Azure Private Link も同様にプライベートエンドポイントを作成しますが、AWS のようにゲートウェイエンドポイントという無料の選択肢は提供していません。S3 や DynamoDB へのアクセスにゲートウェイエンドポイントを使えば、データ処理料金のみで追加のエンドポイント料金が発生しない点は AWS の大きな利点です。

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対応サービス数とエコシステムの広がり

AWS PrivateLink は 100 以上の AWS サービスに対応しており、S3、DynamoDB、Lambda、SageMaker、Kinesis、CloudWatch Logs、Secrets Manager、ECR など主要サービスのほぼすべてをプライベート接続で利用できます。さらに AWS Marketplace に掲載されたサードパーティ SaaS サービスも PrivateLink 経由で接続可能で、Datadog、Snowflake、MongoDB Atlas など 200 以上のパートナーサービスが対応しています。Azure Private Link も Azure Storage、Azure SQL Database、Azure Cosmos DB など主要サービスに対応していますが、サードパーティサービスの PrivateLink 対応数では AWS が先行しています。AWS PrivateLink のエンドポイントサービス機能を使えば、自社の VPC 内で稼働するサービスを他の AWS アカウントや VPC にプライベートに公開することも可能です。Network Load Balancer (NLB) または Gateway Load Balancer (GWLB) の背後にサービスを配置し、エンドポイントサービスとして登録するだけで、クロスアカウントのプライベート接続が実現します。

料金体系とコスト最適化

AWS PrivateLink のインターフェースエンドポイントは、1 エンドポイントあたり 1 AZ で約 0.014 USD/時 (東京リージョン) の料金が発生し、データ処理料金は 1 GB あたり約 0.01 USD です。一方、S3 と DynamoDB 向けのゲートウェイエンドポイントは完全無料で、エンドポイント料金もデータ処理料金も発生しません。大量のデータを S3 や DynamoDB とやり取りするワークロードでは、ゲートウェイエンドポイントを活用することで NAT Gateway 経由のデータ転送料金 (1 GB あたり約 0.062 USD) を完全に回避できます。Azure Private Endpoint は 1 エンドポイントあたり約 0.01 USD/時で、受信データは 1 GB あたり約 0.01 USD、送信データは 1 GB あたり約 0.01 USD です。AWS のゲートウェイエンドポイントのような無料枠がないため、S3 相当の Azure Blob Storage へのプライベートアクセスでもエンドポイント料金が発生します。月間 10 TB のデータを S3 とやり取りする場合、AWS ではゲートウェイエンドポイントを使えばエンドポイント関連のコストはゼロですが、Azure では約 100 USD のデータ処理料金に加えてエンドポイント料金が発生します。

セキュリティとアクセス制御

AWS PrivateLink のセキュリティモデルは、VPC エンドポイントポリシーとセキュリティグループの 2 層で構成されます。エンドポイントポリシーは IAM ポリシーと同じ JSON 形式で記述し、特定の S3 バケットや DynamoDB テーブルへのアクセスのみを許可するきめ細かい制御が可能です。セキュリティグループをエンドポイント ENI にアタッチすることで、どのサブネットやインスタンスからエンドポイントにアクセスできるかをネットワークレベルで制限できます。Azure Private Endpoint は Network Security Group (NSG) によるネットワーク制御に加え、Private DNS Zone との統合で名前解決を管理しますが、AWS のエンドポイントポリシーのようにリソースレベルでアクセスを制限する仕組みは標準では提供されていません。AWS ではさらに、VPC Flow Logs でエンドポイント経由のトラフィックを可視化し、CloudTrail で API 呼び出しを監査できるため、コンプライアンス要件の厳しい環境でも包括的な監視体制を構築できます。

クロスリージョンとマルチアカウント構成

AWS PrivateLink はクロスアカウント接続をネイティブにサポートしており、サービスプロバイダーがエンドポイントサービスを作成し、コンシューマーアカウントがそのサービスへのエンドポイントを作成する形で、異なる AWS アカウント間のプライベート通信を実現します。AWS Organizations と連携すれば、組織内のアカウントに対してのみエンドポイントサービスへのアクセスを許可する制御も可能です。2023 年にリリースされたクロスリージョン PrivateLink により、異なるリージョン間でもプライベート接続が可能になりました。たとえば東京リージョンの VPC からバージニアリージョンのサービスにプライベートにアクセスできます。Azure Private Link もクロスサブスクリプション接続をサポートしていますが、クロスリージョン接続は Azure Private Link Service と組み合わせた構成が必要で、AWS のようなネイティブなクロスリージョン対応はまだ限定的です。AWS Transit Gateway と PrivateLink を組み合わせれば、ハブ & スポーク型のネットワークトポロジーで数百の VPC からプライベートサービスに効率的にアクセスする大規模構成も実現できます。

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まとめ

AWS PrivateLink は、100 以上の AWS サービスと 200 以上のサードパーティサービスに対応する広範なエコシステム、S3・DynamoDB 向けの無料ゲートウェイエンドポイント、エンドポイントポリシーによるリソースレベルのアクセス制御、ネイティブなクロスリージョン接続など、Azure Private Link にはない機能を多数提供しています。特にゲートウェイエンドポイントの無料提供は、大量データを扱うワークロードでのコスト削減に直結します。VPC エンドポイントポリシーとセキュリティグループの 2 層セキュリティモデルは、コンプライアンス要件の厳しい金融・医療分野でも採用されており、プライベートネットワーク設計において AWS は包括的かつ柔軟な選択肢を提供しています。

AWS の優位点

  • AWS PrivateLink は 100 以上の AWS サービスと 200 以上のサードパーティ SaaS に対応し、Azure Private Link を上回るエコシステムを提供
  • S3 と DynamoDB 向けのゲートウェイエンドポイントは完全無料で、NAT Gateway 経由のデータ転送料金 (約 0.062 USD/GB) を回避可能
  • VPC エンドポイントポリシーで特定の S3 バケットや DynamoDB テーブルへのアクセスをリソースレベルで制限でき、Azure にはない細粒度の制御を実現
  • クロスリージョン PrivateLink により異なるリージョン間のプライベート接続をネイティブにサポート
  • インターフェースエンドポイントは 1 AZ あたり約 0.014 USD/時、データ処理は約 0.01 USD/GB の明確な料金体系

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