Amazon EC2
AWS が提供するクラウド上の仮想サーバーサービスで、数百種類のインスタンスタイプから用途に最適な構成を選択し、数分でサーバーを起動できる
概要
Amazon Elastic Compute Cloud (EC2) は、AWS のクラウドコンピューティングの中核を担うサービスです。物理サーバーを購入・設置する必要なく、ブラウザや CLI から仮想マシン (インスタンス) を即座に起動できます。汎用、コンピューティング最適化、メモリ最適化、ストレージ最適化、高速コンピューティングなど数百種類のインスタンスタイプが用意されており、Web アプリケーションのホスティングから大規模なデータ処理、機械学習モデルのトレーニングまで幅広いワークロードに対応します。オンデマンド、リザーブドインスタンス、スポットインスタンスの 3 つの料金モデルを組み合わせることで、コストを最適化できます。
EC2 の技術的な仕組み
EC2 は AWS 独自の Nitro System と呼ばれる次世代仮想化基盤の上で動作します。Nitro System はネットワーキング、ストレージ、セキュリティの処理を専用ハードウェアにオフロードすることで、ホスト OS のオーバーヘッドを極限まで削減し、ベアメタルに近いパフォーマンスを実現しています。各インスタンスは VPC 内に配置され、セキュリティグループとネットワーク ACL によるアクセス制御が適用されます。EBS ボリュームをアタッチすることで永続的なブロックストレージを利用でき、インスタンスストアを使えば高速な一時ストレージも活用できます。Auto Scaling グループと組み合わせることで、CPU 使用率やリクエスト数に応じてインスタンス数を自動的に増減させることも可能です。
料金モデルと Azure との比較
EC2 にはオンデマンド (秒単位課金)、リザーブドインスタンス (1 年または 3 年契約で最大 72% 割引)、スポットインスタンス (余剰キャパシティを最大 90% 割引で利用) の 3 つの主要な料金モデルがあります。Azure の対応サービスは Azure Virtual Machines で、同様にオンデマンドとリザーブドの料金体系を持ちますが、EC2 のスポットインスタンスに相当する Azure Spot Virtual Machines は中断通知が 30 秒前であるのに対し、EC2 スポットは 2 分前の通知が保証されるため、グレースフルシャットダウンの猶予が長い点が異なります。また、EC2 は Graviton プロセッサ搭載インスタンスにより、x86 比で最大 40% のコストパフォーマンス向上を実現しており、Azure には同等の ARM ベースの選択肢が限定的です。
実務でのユースケース
EC2 は Web サーバー、アプリケーションサーバー、バッチ処理基盤、開発・テスト環境など、サーバーが必要なあらゆる場面で利用されます。実務では、本番環境にはリザーブドインスタンスを適用してベースラインコストを抑え、トラフィックの急増時にはオンデマンドインスタンスで Auto Scaling し、耐障害性のあるバッチ処理にはスポットインスタンスを活用するという組み合わせが一般的です。GPU インスタンス (P5, G5 など) を使えば機械学習のトレーニングや推論にも対応でき、HPC 向けの Hpc6a インスタンスでは高性能計算ワークロードも処理できます。