Amazon Braket
量子コンピューティングの探索・研究・開発を支援するフルマネージドサービス
何ができるか
Amazon Braket は、量子コンピューティングの学習、研究、アルゴリズム開発を支援するフルマネージドサービスです。IonQ、Rigetti、QuEra など複数の量子ハードウェアプロバイダーのマシンに統一された API でアクセスでき、量子回路の設計・シミュレーション・実機実行を一貫して行えます。ローカルシミュレーターやマネージドシミュレーターも提供されており、実機を使わずに量子アルゴリズムの開発・テストが可能です。
どのような場面で使うか
量子化学シミュレーションによる新素材・新薬の探索、組合せ最適化問題 (物流ルート最適化、ポートフォリオ最適化) の量子アルゴリズム検証、量子機械学習アルゴリズムの研究開発、量子暗号プロトコルの実験、大学や研究機関での量子コンピューティング教育など、量子技術の探索・研究全般で活用されています。 この分野について体系的に学びたい方は、関連書籍 (Amazon) も参考になります。
身近な例え
レンタルラボに例えるとわかりやすいでしょう。量子コンピュータ (最先端の実験装置) を自前で購入するには数億円かかりますが、レンタルラボ (Braket) なら必要な時だけ最先端の装置を借りて実験できます。しかも複数メーカーの装置を同じ操作手順で使えるので、装置ごとに操作方法を覚え直す必要がありません。
Amazon Braket とは
Amazon Braket は、2020 年に一般提供が開始された量子コンピューティングサービスです。量子コンピュータは従来のコンピュータでは解くのに膨大な時間がかかる特定の問題を高速に解ける可能性を持つ次世代技術です。Braket は、この量子コンピューティングを AWS のクラウド環境から手軽に利用できるようにし、研究者や開発者が量子技術の可能性を探索するための入り口を提供しています。
量子ハードウェアとシミュレーター
Braket は複数の量子ハードウェアプロバイダーと統合されています。超伝導方式の Rigetti、イオントラップ方式の IonQ、中性原子方式の QuEra など、異なるアーキテクチャの量子プロセッサを同一の SDK から利用できます。また、ローカルシミュレーター (開発マシン上で動作)、マネージドシミュレーター (AWS クラウド上で最大 34 量子ビットをシミュレート) も提供されており、実機を使わずにアルゴリズムの開発・デバッグが可能です。
開発環境と料金体系
Braket は Jupyter Notebook ベースの開発環境を提供しており、Amazon Braket SDK (Python) を使って量子回路を記述・実行できます。PennyLane などのオープンソース量子機械学習フレームワークとも統合されています。料金は量子タスク (ショット) 単位の従量課金で、シミュレーターは実行時間ベースの課金です。量子ハードウェアの利用料金はプロバイダーとマシンタイプによって異なりますが、シミュレーターでの開発・テストは比較的低コストで行えます。
Azure・オンプレミスとの比較
AWS の優位点
- IonQ、Rigetti、QuEra など複数の量子ハードウェアプロバイダーに統一 SDK からアクセスでき、異なるアーキテクチャの量子プロセッサを同一コードで比較検証できる
- マネージドシミュレーターで最大 34 量子ビットのシミュレーションが可能で、高価な量子ハードウェアを使わずにアルゴリズムの開発・デバッグを低コストで行える
- Jupyter Notebook ベースの開発環境と PennyLane 統合により、量子機械学習の研究から実機実行までをシームレスに行えるエンドツーエンドの開発体験を提供する
注意点
- 量子ハードウェアの利用はショット単位の課金であり、大量のショットを実行すると高額になる場合があるため、まずはシミュレーターで十分にテストすること
- 現在の量子コンピュータは NISQ (ノイズのある中規模量子) 時代にあり、実用的な量子優位性が得られる問題は限定的であることを理解した上で利用すること
さらに詳しく知りたい方は、関連書籍 (Amazon) で理解を深められます。