AWS Backup Gateway でオンプレミス VMware VM を保護 - ハイブリッドバックアップ戦略
vSphere 環境にゲートウェイをデプロイし、オンプレミスの VMware VM を AWS Backup のバックアッププランで一元管理する。クロスリージョンコピーによる DR 対策も紹介します。
Backup Gateway の概要
Backup Gateway はオンプレミスの VMware 仮想マシンを AWS Backup で保護するゲートウェイサービスです。AWS Backup が EC2、RDS、EFS などの AWS リソースのバックアップを一元管理するのに対し、Backup Gateway はオンプレミスの VMware VM をその管理対象に追加します。vSphere 6.7.x 以降の環境に対応し、ESXi ホスト上で稼働する仮想マシン単位でバックアップを取得します。ゲートウェイは HTTPS で AWS と通信します。バックアップデータは転送時および保存時に暗号化され、オンプレミスの VM イメージがセキュアな経路で AWS に保管されます。
デプロイとバックアップ
Backup Gateway アプライアンスは OVA テンプレートとして vSphere にデプロイし、AWS アカウントにアクティベーションします。デプロイ後に AWS マネジメントコンソールでアクティベーションキーを入力し、ゲートウェイを登録します。vCenter Server のハイパーバイザーを登録すると、管理下の VM が AWS Backup コンソールに表示されます。バックアッププランで VM のスケジュール (毎日 2:00 AM)、保持期間 (30 日)、クロスリージョンコピーを定義します。初回バックアップはフルイメージを転送し、2 回目以降は CBT (Changed Block Tracking) を活用した増分バックアップで差分ブロックのみを転送するため、ネットワーク帯域と時間を抑えられます。リストアでは、VM を vSphere の環境に復元できます。
バックアップポリシーと復元
Backup Gateway で取得した VM バックアップは AWS Backup のバックアッププランで管理します。日次バックアップを 30 日間保持し、月次バックアップを 1 年間保持するライフサイクルポリシーを設定できます。コールドストレージへの移行ルールを追加すれば、長期保持分のストレージコストを抑えられます。復元時は AWS Backup コンソールからリカバリポイントを選択し、オンプレミスの VMware 環境に VM を復元します。復元先は元のホストに限らず、同じ vCenter で管理されている別の ESXi ホストも指定できます。クロスリージョンコピーで DR 用のバックアップを別リージョンに保持し、リージョン障害時の復旧に備えます。バックアップの暗号化は AWS 管理キーまたはカスタマー管理キーで設定します。
具体的なユースケース
Backup Gateway は、次のような場面で使えます。第一に、オンプレミスの vSphere 環境と AWS 上のワークロードを単一のバックアップコンソールで管理したい場合です。Backup Gateway を導入すれば、既存のテープバックアップやサードパーティ製品を段階的に廃止しながら AWS Backup へ移行できます。第二に、リージョン障害を想定した DR 環境の構築です。オンプレミスの本番 VM を日次で AWS に転送しておけば、オフィス拠点の災害時にも AWS 上でワークロードを復旧できます。第三に、コンプライアンス要件によるデータ保持義務への対応です。AWS Backup Vault Lock を組み合わせると、保持期間中のバックアップ削除を禁止する WORM (Write Once Read Many) ポリシーを適用し、保持の要件に合わせてデータを保管します。
他のバックアップ方式との比較
オンプレミス VMware VM のバックアップ手法として、Backup Gateway 以外にも選択肢があります。Veeam や Commvault などのサードパーティ製品を使う場合は、製品のライセンスと管理用サーバーの維持が要ります。一方、Backup Gateway は AWS Backup の一部として動作し、AWS アカウント内で追加のバックアップインフラを構築する必要がありません。AWS Storage Gateway (ボリュームゲートウェイ) をバックアップ用途に流用する方法もありますが、こちらは VM 単位ではなくブロックストレージ (iSCSI) 単位で動作します。VM 単位のバックアップを AWS Backup でまとめて管理する場合は Backup Gateway を、ブロックストレージレベルのレプリケーションや既存のバックアップ製品が要る環境では別の手法を選びます。
Backup Gateway の料金
Backup Gateway で取得したバックアップには、保存した容量に応じたストレージの料金がかかります。コールドストレージへ移行したバックアップはストレージ単価がさらに低くなりますが、復元時のウォームアップに追加料金と時間がかかる点に注意が必要です。バックアップの保持期間とライフサイクルポリシーを適切に設定し、不要なバックアップの長期保持を避けることでストレージコストを管理します。増分バックアップで変更ブロックのみを転送し、ストレージ使用量とネットワーク転送量を抑えます。なお、クロスリージョンコピーを有効にした場合は転送先リージョンでのストレージ費用とデータ転送料 (リージョン間) が追加で発生します。
まとめ
Backup Gateway はオンプレミスの VMware 仮想マシンを AWS Backup で一元管理するサービスです。vSphere 環境にゲートウェイをデプロイし、バックアッププランで日次 / 月次のスケジュールとライフサイクルを定義します。CBT を活用した増分バックアップでネットワーク負荷を抑えつつ、クロスリージョンコピーで DR 用バックアップを確保します。Vault Lock と組み合わせて保持期間中の削除を禁止し、クラウドとオンプレミスのバックアップを AWS Backup でまとめて管理できます。
参考資料 (AWS 公式)
本ページの一次情報は AWS 公式サイトと公式ドキュメントです。最新の仕様と料金は次の公式ページで確認できます。
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