AWS CodeCommit
IAM による認証・認可と保存時の自動暗号化を備えたフルマネージド Git リポジトリサービス。2024 年 7 月に新規受付をいったん停止したが、2025 年 11 月に一般提供へ復帰した
概要
AWS CodeCommit は、Git リポジトリをフルマネージドで提供するソースコード管理サービスです。IAM ユーザーやロールによるアクセス制御、AWS KMS による保存データの自動暗号化、CodePipeline との緊密な連携が特徴で、AWS エコシステム内で完結する CI/CD パイプラインを構築できます。2024 年 7 月 25 日にいったん新規顧客の受け入れを停止しましたが、顧客からの要望を受けて 2025 年 11 月 24 日に一般提供へ復帰し、新規利用も再開されています (2026 年 8 月時点)。
IAM 統合認証がもたらした AWS ネイティブなソースコード管理
CodeCommit の最大の差別化要因は、Git リポジトリの認証・認可を IAM で一元管理できる点にあります。GitHub や GitLab では SSH 鍵や個人アクセストークンをユーザーごとに管理する必要がありますが、CodeCommit では IAM ポリシーでリポジトリ単位・ブランチ単位のアクセス制御を宣言的に定義できます。たとえば「main ブランチへのプッシュはリリースマネージャーロールのみ許可」といった制御を、IAM ポリシーの Condition 句で実現できます。認証方式は HTTPS (Git 認証情報ヘルパー経由) と SSH の両方をサポートし、AWS CLI の credential helper を使えば IAM の一時認証情報で透過的に Git 操作が可能です。保存データは AWS KMS のカスタマーマネージドキーまたは AWS マネージドキーで自動暗号化され、通信は TLS で保護されます。金融機関や政府機関など、ソースコードの保管場所に厳格な要件がある組織にとって、AWS リージョン内にリポジトリが閉じている点は大きな利点です。
CodePipeline 連携と CI/CD パイプラインの構築パターン
CodeCommit は CodePipeline のソースステージとしてネイティブに統合されており、リポジトリへのプッシュをトリガーに CodeBuild でのビルド・テスト、CodeDeploy でのデプロイを自動実行する CI/CD パイプラインを構築できます。EventBridge ルールを介してプッシュイベントを検知するため、ポーリングによる遅延がなくリアルタイムにパイプラインが起動します。プルリクエスト機能も備えており、承認ルールテンプレートで「最低 2 名のレビュー承認が必要」といったマージ条件を強制できます。マージ方法は fast-forward、squash、3-way の 3 種類から選べ、承認ルールの条件を満たしていないプルリクエストはコンソールや CLI からマージできません (ローカルで git merge して push すると承認ルールを迂回できてしまうため、ブランチ側の保護と併用する必要があります)。ただし CodeCommit 自体はソース管理に機能を絞った設計で、ビルドやテストの実行は CodeBuild、パイプライン全体の制御は CodePipeline と組み合わせる前提になります。Git LFS も長く未対応で、一般提供への復帰を告知したブログでは「最も要望の多かった機能」として 2026 年第 1 四半期の対応予定に挙げられました。Azure DevOps の Azure Repos との違いが出やすいのは課金の単位です。CodeCommit は当月に CodeCommit へアクセスした AWS の識別子をアクティブユーザーとして数え、5 名までは無償で 6 人目以降が 1 名あたり月 1 USD、Azure Repos は Azure DevOps Services の Basic プランのユーザーライセンス単位で、同じく 5 名まで無償、6 ユーザー目以降が 1 ユーザーあたり月 6 USD です (いずれも 2026 年 8 月時点)。
新規受付停止から一般提供復帰までの経緯と実務への教訓
2024 年 7 月 25 日、AWS は CodeCommit の新規顧客への提供をいったん停止し、公式ブログでは GitHub、GitLab、Bitbucket などへの移行が案内されました。その後、顧客からのフィードバックを受けて方針が転換され、2025 年 11 月 24 日に CodeCommit は一般提供へ復帰し、新規のサインアップも再開されています (2026 年 8 月時点)。復帰の告知では、99.9% の稼働率 SLA の継続と、対応リージョンの追加 (2026 年第 3 四半期以降に eu-south-2 と ca-west-1) を含むロードマップも併せて示されました。この経緯が実務に残した教訓は、リポジトリの可搬性を平時から確保しておくことの重要性です。git clone --mirror でリポジトリの完全なコピーを取得し、移行先に git push --mirror で反映すれば Git のデータ自体は容易に移せますが、IAM ベースのアクセス制御・承認ルールテンプレート・EventBridge トリガーといった AWS 固有の周辺設定は、移行先の認証モデル (GitHub の Organization 権限、GitLab のグループ権限など) や Webhooks への再設計が必要になります。ホスティングサービスの選定・移行判断では、こうした「Git 本体以外」の付帯設定の移行コストまで含めて評価することが重要です。
参考資料 (AWS 公式)
本ページの一次情報は AWS 公式サイトおよび公式ドキュメントです。最新の仕様 / 料金は次の公式ページで確認できます。
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