AWS Direct Connect

オンプレミス環境と AWS を専用線で接続し、インターネットを経由しない安定した低レイテンシのネットワーク接続を提供するサービス

概要

AWS Direct Connect は、オンプレミスのデータセンターやオフィスと AWS クラウドを専用のネットワーク接続で結ぶサービスです。インターネットを経由しないため、一貫したネットワーク帯域幅と低レイテンシを実現し、大量のデータ転送やレイテンシに敏感なワークロードに適しています。接続帯域は 50 Mbps から 100 Gbps まで選択でき、1 つの接続で複数の VPC やオンプレミスネットワークに仮想インターフェース (VIF) を通じてアクセスできます。Direct Connect Gateway を使えば、1 つの Direct Connect 接続から複数のリージョンの VPC にアクセスすることも可能です。データ転送料金はインターネット経由より安価で、大量のデータを定常的に転送する場合にコストメリットがあります。冗長性を確保するために、2 つの異なるロケーションからの接続や、VPN バックアップとの併用が推奨されます。

専用接続とホスト接続の選択

Direct Connect には専用接続とホスト接続の 2 つの方式があります。専用接続は 1 Gbps、10 Gbps、100 Gbps の帯域で、AWS Direct Connect ロケーション (データセンター) に物理ポートを確保します。大量のデータ転送が必要な企業向けで、開通までに数週間から数か月かかります。ホスト接続は AWS Direct Connect パートナー経由で提供され、50 Mbps から 10 Gbps の帯域を選択できます。パートナーの既存インフラを利用するため、専用接続より短期間で開通でき、小規模な帯域から始められます。料金面では、専用接続の 1 Gbps ポートが月額約 220 ドル (東京) + データ転送料金です。Azure ExpressRoute の同等帯域が月額約 436 ドル (東京) であることを考えると、ポート料金は Direct Connect の方が安価です。

仮想インターフェースと Direct Connect Gateway

仮想インターフェース (VIF) は 1 つの物理接続を論理的に分割し、異なる用途に振り分ける仕組みです。パブリック VIF は S3 や DynamoDB などの AWS パブリックサービスへのアクセスに使い、プライベート VIF は VPC 内のリソースへの直接アクセスに使います。トランジット VIF は Transit Gateway 経由で複数の VPC に接続する場合に選択します。Direct Connect Gateway を使えば、1 つの Direct Connect 接続から複数のリージョンの VPC にアクセスすることも可能で、グローバルに展開する企業のハブ拠点から各リージョンの VPC に効率的に接続できます。SiteLink 機能を有効にすると、Direct Connect ロケーション間の直接通信が可能になり、オンプレミスの拠点間通信を AWS のバックボーンネットワーク経由で行う構成も実現できます。関連書籍 (Amazon) も参考になります。

冗長構成と VPN バックアップ

Direct Connect の本番運用では、単一障害点を排除する冗長構成が必須です。最低でも 2 つの異なるロケーションに接続を確保し、BGP のルーティング設定でアクティブ/パッシブまたはアクティブ/アクティブの切り替えを実現します。高可用性が求められる場合は、Direct Connect と Site-to-Site VPN を組み合わせたフェイルオーバー構成も有効です。Direct Connect が障害で切断された際に VPN に自動的にフェイルオーバーし、復旧後は Direct Connect に戻る構成を BGP の AS パス長やローカルプリファレンスで制御します。Link Aggregation Group (LAG) を使えば、複数の接続を束ねてスループットを向上させつつ、1 本が障害になっても残りの接続で通信を継続できます。コスト面では、冗長構成はポート料金が 2 倍になりますが、ダウンタイムによるビジネス損失と比較して判断します。開発環境では VPN のみ、本番環境では Direct Connect + VPN バックアップという使い分けも現実的な選択肢です。

共有するXB!