AWS Direct Connect で構築する専用線接続 - 冗長構成とトラフィック制御
専用線接続の冗長構成を設計し、Direct Connect Gateway で複数リージョンの VPC に接続する。LAG による帯域集約と MACsec 暗号化も紹介します。
Direct Connect の概要
Direct Connect はオンプレミスと AWS を専用線で接続するサービスです。インターネット VPN と比較して、帯域幅が安定し、レイテンシが低く、データ転送コストが削減されます。1 Gbps と 10 Gbps の専用接続、50 Mbps から 10 Gbps のホスト接続を提供し、Direct Connect Gateway で複数リージョンの VPC に 1 本の接続でアクセスできます。
冗長構成と Direct Connect Gateway
本番環境では異なるロケーション (データセンター) に 2 つの接続を配置するデュアルロケーション構成が推奨です。一方のロケーションで障害が発生しても、もう一方で通信を継続します。Direct Connect Gateway は単一の接続から複数リージョンの VPC にアクセスする機能で、リージョンごとに接続を用意する必要がありません。Transit Gateway と組み合わせると、Direct Connect Gateway 経由で Transit Gateway に接続し、Transit Gateway 配下の全 VPC にアクセスできます。
LAG と MACsec による高可用性・暗号化
Link Aggregation Group (LAG) は複数の Direct Connect 接続を 1 つの論理インターフェースに束ね、帯域幅の集約とリンク障害時のフェイルオーバーを実現します。 LAG 内の接続はすべて同じ帯域幅で同じロケーションに配置する必要があります。 MACsec (IEEE 802.1AE) を有効にすると、 Direct Connect 接続上のデータをレイヤー 2 で暗号化し、物理回線上の盗聴を防止します。 10 Gbps および 100 Gbps の専用接続で MACsec がサポートされ、 CKN/CAK ペアを設定してキーの関連付けを行います。 SiteLink を有効にすると、 AWS バックボーンを経由して異なる Direct Connect ロケーション間を直接通信でき、オンプレミス拠点間の接続にも AWS ネットワークを活用できます。 Direct Connect のトラブルシューティングを学ぶうえで関連書籍 (Amazon)が参考になります。
Direct Connect のコスト構造
Direct Connect のコストはポート時間料金とデータ転送料金で構成されます。専用接続のポート料金は帯域幅に応じて月額固定で、1 Gbps で約 0.30 ドル/時間です。データ転送料金はアウトバウンド (AWS → オンプレミス) のみ課金され、インバウンドは無料です。ホスト接続はパートナー経由で 50 Mbps から利用でき、小規模なワークロードではコスト効率に優れます。Direct Connect Gateway を使用すると、1 本の接続で複数リージョンの VPC にアクセスでき、リージョンごとに接続を用意する必要がなくなります。トラフィック量が月間 1 TB を超える場合、VPN と比較して Direct Connect の方がデータ転送コストで有利になるケースが多くなります。
仮想インターフェース (VIF) の種類
1 本の物理接続の上には、用途の異なる仮想インターフェース (VIF) を作成します。プライベート VIF は VPC 内のプライベート IP リソースへ接続するためのもので、最も一般的です。パブリック VIF は S3 や DynamoDB などのパブリックなエンドポイントへ、インターネットを経由せず専用線で到達するために使います。トランジット VIF は Direct Connect Gateway を介して Transit Gateway に接続し、多数の VPC へ集約的にアクセスします。要件に応じて VIF を使い分けることで、1 本の回線を多目的に活用できます。
BGP とルーティング設計
Direct Connect の経路制御は BGP で行います。オンプレミス側とAWS 側で BGP セッションを確立し、互いに経路を交換します。冗長構成では、AS パスの長さや BGP の属性を調整して、平常時に使う主回線と障害時に切り替わる予備回線を制御します。広告する経路を適切に絞り込むことで、意図しない経路の流入を防ぎます。フェイルオーバーを高速化したい場合は BFD (双方向フォワーディング検知) を有効にすると、リンク障害をより早く検知して経路を切り替えられ、ダウンタイムを短縮できます。
ハイブリッド DNS と名前解決
専用線でオンプレミスと VPC をつないだ後は、双方向の名前解決を設計します。Route 53 Resolver のインバウンドエンドポイントを置くと、オンプレミスの DNS から VPC 内のプライベートホスト名を解決できます。アウトバウンドエンドポイントを使えば、VPC 内のリソースからオンプレミスの DNS へクエリを転送できます。これにより、クラウドとオンプレミスのサーバーが互いをホスト名で参照でき、IP 直書きに頼らない運用が可能になります。名前解決の経路も冗長化し、片側の障害で全体が止まらないよう配慮します。
導入プロセスと回復性のベストプラクティス
専用接続の開通には、AWS がロケーション情報を記した書類を発行し、データセンター事業者との物理結線を経るため、リードタイムがかかります。要件が固まった段階で早めに発注するのが現実的です。回復性の観点では、単一接続・単一ロケーションは単一障害点になるため、本番では別ロケーションへの 2 回線構成を基本とします。さらに、専用線そのものが不通になった場合に備え、VPN をバックアップ経路として併設しておくと、可用性を一段高められます。定期的に切り替え試験を行い、想定どおりフェイルオーバーするかを確認します。
まとめ
Direct Connect はオンプレミスと AWS を専用線で接続し、安定した低レイテンシのネットワークを提供するサービスです。LAG で帯域幅を集約し、MACsec でレイヤー 2 の暗号化を実現します。Direct Connect Gateway で 1 本の接続から複数リージョンの VPC にアクセスでき、SiteLink でオンプレミス拠点間の通信にも AWS バックボーンを活用できます。