AWS Certified AI Practitioner / 出題 28%

基盤モデルの応用

このドメインで学ぶこと

このドメインでは、AWS が提供する主要な AI / ML サービスを学びます。基盤モデル API の Amazon Bedrock、機械学習プラットフォームの Amazon SageMaker、ビジネス向けアシスタントの Amazon Q、そして特定用途の AI サービス (Comprehend、Rekognition、Transcribe など) の使い分けが中心テーマです。AIF-C01 で出題比率 28% を占める最大ドメインです。

重要ポイント

  • Amazon Bedrock - 複数の基盤モデルを統一 API で呼び出せるサービス。Anthropic や Meta など各社のモデルと Amazon 自社の Nova をサーバーレスで使える
  • Bedrock Prompt Management - プロンプトを変数付きで保存し、案を比べ、版を指定してアプリケーションから呼び出す
  • Amazon SageMaker - データ準備からモデル開発 / 学習 / デプロイまで一気通貫で支援する ML プラットフォーム
  • Amazon Q - ビジネス向け生成 AI アシスタント。Q Developer (開発支援) と Q Business (社内文書検索) がある
  • 特定用途 AI - Comprehend (テキスト分析)、Translate (翻訳)、Transcribe (音声→テキスト)、Polly (テキスト→音声)、Rekognition (画像 / 動画分析)、Textract (文書からテキスト抽出)
  • 検索 / 会話 / レビュー - Kendra (社内文書の意味検索)、Lex (会話ボット)、Personalize (レコメンド)、A2I (AI の判定結果を人間がレビュー)
  • Bedrock Knowledge Bases - 自社データで RAG を簡単に実装できる Bedrock の機能
  • モデル蒸留 - 大きなモデル (教師) の回答で小さなモデル (生徒) を学習させ、推論の費用とレイテンシを下げるカスタマイズ
  • Bedrock Agents - 複数のステップを自律的に実行する AI エージェントを Bedrock 上で構築できる機能
  • AI エージェント - 依頼を手順に分けてツールを呼び出し、作業を最後まで自律的に進める。作る SDK の一例が Strands Agents、本番で動かす基盤が Bedrock AgentCore
  • 基盤モデルの評価 - ベンチマーク、人が回答を採点する評価 (ヒューマンインザループ)、LLM-as-a-judge (Bedrock のモデル評価) に加え、タスク完了率、満足度、1 回あたりの費用で業務目標との整合を見る
  • Bedrock Guardrails - 不適切な発言や個人情報漏洩を防ぐためのガードレール機能

用語と概念

Amazon Bedrock

複数社の基盤モデルを単一の API で呼び出せるフルマネージドサービスです (2026 年 8 月時点では Anthropic、Meta、Mistral AI 各社のモデルと Amazon 自社の Nova など。ラインアップは拡充が続いています)。サーバーレスで使え、追加機能として Knowledge Bases (RAG)、Agents、Guardrails などを提供します。

Bedrock Prompt Management

Amazon Bedrock Prompt Management は、使い回すプロンプトを作成、テスト、保存する機能です (2026 年 10 月時点)。プロンプトに変数を入れて用途ごとに値を差し替え、モデルや推論パラメーターの違う複数の案 (バリアント) の出力を比べて良いものを選べます。改良の途中で版 (バージョン) を保存し、アプリケーションからは版を指定して呼び出すので、新しい版を試しながら本番では検証済みの版を使い続けられます。

Amazon SageMaker

ML モデルの開発全工程 (データ準備、学習、評価、デプロイ、運用) を支援するプラットフォームです。SageMaker Studio で開発、SageMaker Training で学習、SageMaker Endpoint で本番推論を提供します。独自モデルを一から作りたい場合に強力です。

Amazon Q (Q Developer / Q Business)

Amazon Q は AWS が提供するビジネス向け生成 AI アシスタントです。Q Developer はコード生成 / レビュー / AWS リソース操作支援、Q Business は社内文書から RAG で回答する社内ナレッジアシスタントです。SaaS 形態ですぐ使えます。

特定用途 AI サービスの使い分け

Comprehend (感情分析、エンティティ抽出)、Translate (機械翻訳)、Transcribe (音声→テキスト)、Polly (テキスト→音声)、Rekognition (顔検出、物体検出、コンテンツモデレーション)、Textract (PDF / 画像から構造化テキスト抽出) は、それぞれ専用に最適化された API です。簡単 / 高速 / 低コストで導入できます。

Bedrock Guardrails と Knowledge Bases

Knowledge Bases は S3 などのデータソースから RAG を構築する Bedrock の機能で、検索とプロンプト統合を自動化します。Guardrails は不適切な内容、個人情報、特定トピックなどをブロックするフィルターで、企業利用に必要な安全性を確保します。

モデル蒸留

モデル蒸留は、大きく賢いモデル (教師) の回答を使って、小さく速く安いモデル (生徒) を特定の用途向けに学習させるカスタマイズです。Amazon Bedrock のモデル蒸留では、用意したプロンプトから教師に回答を作らせるか、本番の呼び出しログに残る教師の回答を使い、その回答で生徒をファインチューニングします (2026 年 10 月時点)。カスタマイズの費用はプロンプトの工夫 (文脈内学習) が最も安く、RAG、ファインチューニング、事前学習の順に重くなります。蒸留は学習の手間がかかる代わりに、できたモデルが小さいので、運用中の推論の費用とレイテンシを下げられます。

AI エージェントの役割と業務での使い方

AI エージェントは、利用者の依頼を手順に分け、必要な情報を集め、API やツールを呼び出して作業を最後まで進める仕組みです。業務では問い合わせへの回答と手続きの実行、複数のシステムをまたぐ処理の自動化、社内データを調べた報告の作成などに使います。AWS Transform のように、古いアプリケーションやサーバーの移行をエージェントに任せるサービスもあります。エージェントを作る道具と本番で動かす基盤は、「生成 AI の基礎」の「生成 AI を作る AWS の道具」を参照してください。Bedrock の中で設定して作る Amazon Bedrock Agents もあります (2026 年 10 月時点)。

評価の進め方と業務目標との整合

基盤モデルの性能は、用意されたベンチマークのデータセットでの自動評価、人が回答を採点する評価 (ヒューマンインザループ)、別の LLM に採点させる LLM-as-a-judge を組み合わせて測ります。2026 年 10 月時点の Amazon Bedrock のモデル評価では、この 3 つの方法に加えて、Knowledge Bases を使う RAG の検索と回答の評価も行えます。指標の数値が良くても業務に役立つとは限りません。タスク完了率 (依頼が最後まで片付いた割合)、利用者の満足度、1 回のやり取りあたりの費用といった、業務の目標に結び付いた指標も合わせて確かめます。

Kendra と Q Business の違い

Kendra は機械学習ベースのエンタープライズ検索エンジンで、社内文書を意味で検索し「該当する文書や箇所」を返します。Q Business は検索に加えて生成 AI が「回答そのもの」を組み立てて返す完成品のアシスタントです。つまり Kendra は検索部品 (RAG の検索側にも使える)、Q Business は検索 + 生成を含む出来合いのソリューション、というのが両者の対比です。

Personalize / Lex / A2I

Personalize は Amazon.com のレコメンド技術をベースにした推薦サービスで、「この商品を見た人はこれも」のような個別化を実現します。Lex は音声 / テキストのチャットボットを構築するサービスで、Alexa と同じ会話技術を使い、コンタクトセンターの自動応答などに使われます。A2I (Augmented AI) は、AI の推論結果のうち確信度が低いものだけを人間のレビュー担当者へ回すワークフローを構築するサービスで、Textract や Rekognition と組み合わせて使います。

確認問題 5 問