Amazon Q Business で構築する企業向け AI アシスタント - 社内ナレッジの検索と業務自動化

社内ドキュメント・Confluence・SharePoint などのデータソースを接続し、RAG ベースの企業内検索と質問応答を実現する。ガードレールとアクセス制御で安全な生成 AI 活用基盤を構築する方法を解説します。

Q Business の概要

Amazon Q Business は企業内のデータソースに接続し、社員が自然言語で質問・検索・要約を行える生成 AI アシスタントサービスです。Confluence、SharePoint、Salesforce、ServiceNow、S3、RDS など 40 以上のデータソースコネクタを提供し、社内に散在するナレッジを統合的に検索できます。RAG (Retrieval-Augmented Generation) アーキテクチャにより、接続されたデータソースから関連情報を検索し、その情報に基づいて回答を生成するため、ハルシネーション (事実と異なる回答) のリスクを低減します。Bedrock の Knowledge Bases が開発者向けの API ベースの RAG 基盤であるのに対し、Q Business はノーコードで Web UI 付きの企業向けアシスタントを構築できる点が異なります。

データソース接続とインデックス

Q Business のアプリケーションを作成し、データソースコネクタでドキュメントをインデックスに取り込みます。コネクタは定期的にデータソースをクロールし、新規・更新・削除されたドキュメントを自動的に同期します。同期スケジュールはオンデマンド、毎時、毎日、毎週から選択できます。ドキュメントのアクセス制御リスト (ACL) がデータソースから自動的にインポートされ、ユーザーは自分がアクセス権を持つドキュメントの情報のみを検索結果として受け取ります。たとえば SharePoint の権限設定がそのまま Q Business に反映されるため、機密文書が権限のないユーザーに漏洩するリスクを防ぎます。カスタムドキュメントエンリッチメントで、インデックス前にメタデータの追加や本文の前処理を Lambda 関数で実行することも可能です。

ガードレールとアクセス制御

Q Business は IAM Identity Center と統合し、ユーザー認証とアクセス制御を一元管理します。管理者はトピックごとにガードレールを設定し、特定のトピック (人事評価、給与情報など) への質問をブロックしたり、回答に含めるデータソースを制限したりできます。グローバルコントロールで、回答に必ず出典 (ソースドキュメントへのリンク) を含めるよう強制し、回答の信頼性を担保します。プラグイン機能で Jira チケットの作成、ServiceNow インシデントの起票、Zendesk チケットの更新などのアクションを自然言語の指示で実行できます。管理者ダッシュボードで、ユーザーの質問傾向、回答の有用性フィードバック、データソースごとの利用状況を分析し、ナレッジベースの改善に活用します。 企業の AI 活用戦略についてはAmazon の関連書籍も参考になります。

Q Business の料金

Q Business の料金はユーザーライセンスとインデックスストレージで構成されます。Business Lite ユーザーは月額約 3 ドルで、質問応答と検索の基本機能が利用できます。Business Pro ユーザーは月額約 20 ドルで、プラグインによるアクション実行、カスタムアプリケーション作成、管理者ダッシュボードの全機能が利用できます。インデックスストレージはドキュメント数に応じた従量課金で、20,000 ドキュメントまでは追加料金なしです。データソースコネクタの同期頻度が高いほどクロールコストが増加するため、更新頻度の低いデータソースは日次同期に設定してコストを抑えます。

まとめ

Amazon Q Business は社内ナレッジを統合し、自然言語で検索・質問・アクション実行ができる企業向け生成 AI アシスタントです。40 以上のデータソースコネクタと ACL ベースのアクセス制御で、セキュアなナレッジ検索基盤を構築します。ガードレールとプラグインで安全性と実用性を両立し、管理者ダッシュボードで継続的な改善を推進します。