Amazon SageMaker Canvas でノーコード ML - ビジュアルインターフェースで予測モデルを構築

コーディング不要で ML モデルを構築するビジュアルツール。CSV をアップロードして予測対象を選ぶだけでモデルが完成し、Studio との双方向共有も可能です。

SageMaker Canvas の概要

SageMaker Canvas はコーディング不要で ML モデルを構築 / 予測できるビジュアルインターフェースです。SageMaker Studio がデータサイエンティスト向けの IDE であるのに対し、Canvas はビジネスアナリストや非エンジニアが ML を活用するためのツールです。CSV ファイルをアップロードし、予測対象の列を選ぶとモデルを構築できます。データソースは S3 上の CSV に加え、Redshift、Athena、Snowflake との直接接続にも対応し、既存のデータウェアハウスのデータを分析に使えます。

モデル構築と予測

データセットをインポートし、予測対象の列 (ターゲット) を選択すると、Canvas が自動的にデータの分析、特徴量エンジニアリング、アルゴリズムの選択、ハイパーパラメーターの最適化を実行します。数値予測と分類の予測では、平均の構築時間は Quick Build が 2〜20 分、Standard Build が 2〜4 時間で、Standard Build のほうが一般に精度が高くなります。Canvas は AutoML で複数のアルゴリズム (線形回帰、XGBoost、Deep Learning など) から最大 250 のモデルを構築し、最も性能のよいモデルを選びます。構築したモデルで新しいデータの予測を実行し、結果を CSV でダウンロードできます。バッチ予測に加え、単一レコードの予測 (What-if 分析) にも対応し、特徴量の値を変えて予測結果の変化を確かめられます。Ready-to-use モデルは事前トレーニング済みの Bedrock モデルを Canvas から直接利用する機能で、感情分析やテキスト要約を実行できます。

モデル共有と自動再トレーニング

Canvas で構築したモデルは SageMaker Studio に共有し、データサイエンティストが Python コードで詳細なチューニングや評価を行えます。逆に、 Studio で構築した高度なモデルを Canvas にインポートし、ビジネスアナリストが GUI で予測を実行することも可能です。自動再トレーニングをスケジュール設定すると、新しいデータでモデルが更新されます。 Canvas は時系列予測、分類、回帰、画像分類、テキスト分類の問題タイプに対応し、モデルの構築を始めるとモデルの種類を推奨します。

ユースケースと導入パターン

Canvas の使い道の 1 つは、データは蓄積されているがデータサイエンスチームの人手が足りない部門です。マーケティング部門が顧客離脱予測を構築するケースでは、CRM からエクスポートした顧客属性 CSV (契約期間、利用頻度、サポート問い合わせ回数など) をアップロードし、ターゲット列に「解約フラグ」を指定して離脱予測モデルを構築します。製造業の品質予測では、センサーデータの時系列を取り込み、不良品発生を事前に予測して歩留まりを改善するケースがあります。小売業の需要予測では、Canvas の時系列予測モードで SKU 別の販売数量を予測し、在庫最適化に活用します。導入の流れの 1 つは、まず Canvas で仮説検証 (Quick Build でモデルの実現可能性を確認)、精度が有望であれば Studio に共有してデータサイエンティストがチューニング、最終的に SageMaker Endpoint としてプロダクション展開する 3 段階のフローです。

SageMaker Studio Notebooks との使い分け

Canvas と Studio Notebooks は対象ユーザーと自由度のトレードオフで棲み分けます。Canvas はノーコードで検証するツールで、特徴量の前処理、アルゴリズムの選択、ハイパーパラメーターの最適化を自動で行います。一方 Studio Notebooks では、Python/R でカスタム前処理、独自アルゴリズムの実装、分散学習、GPU の選定を指定できます。Canvas の制約として、カスタムアルゴリズムの投入ができない、特徴量変換のロジックを細かく指定できない、モデルの中間出力 (特徴量重要度以外の解釈) へのアクセスが限定的である点があります。このため、AutoML の精度で十分なタスクは Canvas、独自の研究的アプローチが必要なタスクは Studio Notebooks、という切り分けがあります。Canvas の Quick Build の結果で、精度は足りないが見込みがあると分かった場合に、Studio に引き渡す使い方があります。

Canvas の料金

Canvas のセッション料金は、ワークスペースの使用時間で課金されます。モデルのトレーニングはトレーニング時間とインスタンスタイプで別途課金されます。クイックビルドは探索的な分析に使い、スタンダードビルドは一般に精度の高いモデルを構築します。クイックビルドで十分な精度が得られる場合は、スタンダードビルドを省略すると、トレーニングのコストを抑えられます。Canvas のセッションを使用しない時間帯はログアウトして課金を停止します。Ready-to-use モデル (感情分析、テキスト抽出) は追加トレーニングなしで利用でき、トレーニングコストが不要です。Canvas はバックグラウンドでインスタンスを維持するため、データ探索が終わってもログアウトしないとセッションの料金がかかり続けます。

まとめ

SageMaker Canvas はノーコードで ML モデルを構築するビジュアルツールです。ビジネスアナリストが自らデータ分析と予測を実行し、Studio との双方向のモデル共有でデータサイエンティストとモデルを受け渡せます。時系列予測、分類、回帰、画像分類に対応し、自動再トレーニングでモデルを新しいデータで更新できます。Ready-to-use モデルで追加トレーニングなしに感情分析やテキスト抽出を利用できます。

参考資料 (AWS 公式)

本ページの一次情報は AWS 公式サイトと公式ドキュメントです。最新の仕様と料金は次の公式ページで確認できます。

本ページと公式ドキュメントの記述が食い違う場合は、公式ドキュメントを正としてください。

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