AWS IoT SiteWise
産業機器のセンサーデータを収集・構造化・可視化し、設備の稼働状況や異常検知をリアルタイムで監視する産業 IoT サービス
概要
AWS IoT SiteWise は、工場や発電所などの産業設備からセンサーデータを大規模に収集し、アセットモデルとして構造化して保存・可視化する産業 IoT サービスです。OPC-UA プロトコルに対応した SiteWise Edge ゲートウェイにより、既存の産業制御システム (SCADA/PLC) からデータを直接取り込めます。アセットモデルでは設備の階層構造 (工場 → ライン → 機器 → センサー) を定義し、計算式やアラームを設定することで、設備総合効率 (OEE) の自動算出や閾値超過時の即座通知を実現します。
アセットモデリングとデータ構造化
SiteWise のアセットモデルは、産業設備の物理的な階層構造をデジタルツインとして表現する仕組みです。アセットモデルは測定値 (Measurement)、変換 (Transform)、メトリクス (Metric) の 3 種類のプロパティで構成されます。測定値はセンサーから直接取り込む生データ (温度、圧力、回転数など)、変換は測定値に対する即時計算 (華氏→摂氏変換、単位換算など)、メトリクスは時間ウィンドウでの集計 (1 時間平均、日次最大値など) を定義します。アセットモデルをテンプレートとして定義すれば、同型の設備を複数インスタンス化する際にモデルを再利用でき、数千台の同型機器を効率的に管理できます。アセット間の関連付け (親子関係) により、工場全体の OEE を各ラインの OEE から自動集計するカスケード計算も宣言的に定義可能です。
SiteWise Edge とオンプレミスデータ収集
SiteWise Edge ゲートウェイは、AWS IoT Greengrass 上で動作するソフトウェアコンポーネントで、工場内のネットワークに設置して OPC-UA サーバーからデータを収集します。OPC-UA は産業オートメーションの標準プロトコルであり、Siemens、Rockwell、三菱電機などの主要 PLC メーカーが対応しています。ゲートウェイはデータのバッファリングとフィルタリングをエッジ側で実行し、ネットワーク帯域の消費を抑えつつクラウドへデータを転送します。インターネット接続が断続的な環境でも、ローカルストレージにデータを蓄積し、接続回復時に自動的にクラウドへ同期する設計です。エッジ側でのアラーム評価も可能で、クラウドへの往復遅延なしに現場での即時対応を実現します。Modbus TCP/IP プロトコルへの対応も追加されており、レガシーな産業機器からのデータ収集にも対応します。
SiteWise Monitor による可視化と異常検知
SiteWise Monitor は、コーディング不要でセンサーデータのダッシュボードを構築できるウェブアプリケーションです。現場のオペレーターや設備管理者が、ブラウザから設備の稼働状況をリアルタイムで確認し、アラーム状態の設備をドリルダウンして原因を特定できます。IAM Identity Center との統合により、工場ごと・ライン担当者ごとにアクセス可能なアセットを制御できます。異常検知では、SiteWise のアラーム機能で静的閾値 (温度が 80℃ を超えたら警告) と複合条件 (温度上昇かつ振動増加) の両方を設定できます。さらに、IoT Events との連携で複雑なステートマシンベースのアラームロジックを構築し、段階的なエスカレーション (警告→重大→緊急停止) を自動化するパターンが実運用では効果的です。蓄積されたデータを SageMaker で分析し、予知保全モデルを構築して故障の予兆を検出する高度な活用も可能です。