Amazon Managed Grafana

オープンソースの Grafana をフルマネージドで提供し、CloudWatch、Prometheus、Timestream など 30 以上のデータソースを統合した運用ダッシュボードを構築するサービス

概要

Amazon Managed Grafana は、オープンソースの Grafana をフルマネージドで提供する可視化・モニタリングサービスです。サーバーの構築やバージョンアップが不要で、IAM Identity Center (旧 SSO) や SAML 2.0 による認証統合、VPC 内データソースへのプライベート接続、ワークスペース単位のマルチテナント分離を標準で備えています。Grafana のプラグインエコシステムをそのまま活用でき、CloudWatch、Amazon Managed Service for Prometheus、Timestream、X-Ray、Athena、Redshift など 30 以上のデータソースに接続できます。

ワークスペースの設計とデータソース接続

Managed Grafana のワークスペースは、独立した Grafana インスタンスに相当します。チーム別、環境別 (本番/開発)、プロジェクト別にワークスペースを分離することで、アクセス制御とダッシュボードの管理を整理できます。データソースの接続は AWS データソース設定機能で自動化でき、CloudWatch や Prometheus のデータソースをワンクリックで追加できます。IAM ロールベースの認証により、データソースごとにアクセスキーを管理する必要がありません。VPC 内のデータソース (RDS、OpenSearch、自前の Prometheus サーバーなど) に接続する場合は、VPC エンドポイント接続を設定します。クロスアカウントのデータソースにも対応しており、Organizations 内の複数アカウントの CloudWatch メトリクスを 1 つのダッシュボードに集約できます。Grafana のアラート機能で閾値超過を検知し、SNS、PagerDuty、Slack に通知を送信するワークフローも構築可能です。ワークスペースの料金はアクティブユーザー 1 人あたり月額 9 USD (Editor) または 5 USD (Viewer) で、ユーザー数に応じたスケーラブルな課金モデルです (2026 年 8 月時点)。

Prometheus メトリクスの可視化パイプライン

Managed Grafana と Amazon Managed Service for Prometheus (AMP) の組み合わせは、Kubernetes 環境のモニタリングにおける標準構成です。EKS クラスター上の Prometheus エージェント (AWS Distro for OpenTelemetry または Prometheus サーバーのリモートライト) がメトリクスを AMP に送信し、Managed Grafana が AMP をデータソースとしてダッシュボードを描画します。Grafana のテンプレート変数を活用すれば、クラスター、名前空間、Pod を動的に切り替えられるインタラクティブなダッシュボードを構築できます。PromQL (Prometheus Query Language) による柔軟なクエリで、CPU 使用率のパーセンタイル、メモリの増加トレンド、リクエストレートの異常検知などを表現します。Grafana のダッシュボードは JSON でエクスポート/インポートできるため、Terraform や CloudFormation でダッシュボードの定義をコード管理し、環境間で一貫したモニタリング構成を維持できます。コミュニティが公開しているダッシュボードテンプレート (Kubernetes クラスター概要、Node Exporter、NGINX Ingress など) をインポートすれば、ゼロからダッシュボードを構築する手間を省けます。

CloudWatch との統合と運用ダッシュボードの実践

CloudWatch ダッシュボードと Managed Grafana のどちらを使うかは、運用チームのニーズで決まります。CloudWatch ダッシュボードは AWS コンソール内で完結し、追加コストなしで基本的なメトリクス可視化が可能です。一方、Managed Grafana は複数のデータソースを 1 つのダッシュボードに統合できる点が決定的な強みです。CloudWatch のメトリクス、Prometheus のコンテナメトリクス、Timestream の IoT データ、Athena のビジネスメトリクスを 1 枚のダッシュボードに並べて表示し、インフラからビジネスまでの全体像を俯瞰できます。実務で効果的なダッシュボード設計として、3 層構造が推奨されます。第 1 層はエグゼクティブ向けのサマリー (SLA 達成率、エラー率、主要 KPI)、第 2 層はチーム向けのサービス別詳細 (レイテンシ分布、スループット、リソース使用率)、第 3 層はトラブルシューティング用の詳細メトリクス (個別インスタンス、ログ相関) です。Grafana のフォルダとチーム機能でダッシュボードを整理し、ロールベースのアクセス制御で各層の閲覧権限を管理します。

表: CloudWatch ダッシュボードと Managed Grafana の使い分け
観点CloudWatch ダッシュボードAmazon Managed Grafana
得意なことAWS コンソール内で完結し、追加コストなしで基本的なメトリクス可視化ができる複数のデータソースを 1 つのダッシュボードに統合できる
つなげる先CloudWatch が収集したメトリクスCloudWatch、Amazon Managed Service for Prometheus、Timestream、X-Ray、Athena など。Grafana のプラグインエコシステムをそのまま使える
1 枚に並べられるものAWS リソースのメトリクスCloudWatch のメトリクス、Prometheus のコンテナメトリクス、Timestream の IoT データ、Athena のビジネスメトリクスを並べ、インフラからビジネスまでを俯瞰できる
選ぶ基準基本的なメトリクス可視化で足りるときデータソースをまたいだ俯瞰が要るとき
図: 実務で効果的なダッシュボードの 3 層構造
  1. 第 1 層: エグゼクティブ向けのサマリーSLA 達成率、エラー率、主要 KPI を 1 枚にまとめ、状態を数秒で把握できるようにする。
  2. 第 2 層: チーム向けのサービス別詳細レイテンシ分布、スループット、リソース使用率をサービスごとに並べ、どこが遅いのかを切り分ける。
  3. 第 3 層: トラブルシューティング用の詳細メトリクス個別インスタンスのメトリクスやログ相関まで降り、原因の特定に使う。
  4. 層をまたぐ整理と権限Grafana のフォルダとチーム機能でダッシュボードを整理し、ロールベースのアクセス制御で各層の閲覧権限を管理する。

参考資料 (AWS 公式)

本ページの一次情報は AWS 公式サイトおよび公式ドキュメントです。最新の仕様 / 料金は次の公式ページで確認できます。

本ページと公式ドキュメントの記述が食い違う場合は、公式ドキュメントを正としてください。

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