AWS Service Quotas
AWS サービスの利用上限値を一元管理し、上限引き上げリクエストの送信やアラート設定を行えるサービス
概要
AWS Service Quotas は、AWS の各サービスに設定されたクォータ (利用上限値) を一元的に確認・管理するサービスです。EC2 インスタンス数、Lambda 同時実行数、S3 バケット数など、数百のサービスにわたるクォータ値を単一のコンソールから参照でき、上限引き上げリクエストも同じコンソールから送信できます。CloudWatch と統合してクォータ使用率のアラームを設定でき、上限に近づいた際に事前通知を受け取れます。Organizations と連携すれば、組織内に新規作成されるアカウントに対して、テンプレートに定義したクォータ引き上げを自動的にリクエストできます。Trusted Advisor もクォータのチェックを提供しており、対象範囲や確認方法の違いを踏まえて使い分けます。
クォータの種類と引き上げリクエストの実務
AWS のクォータには、調整可能 (Adjustable) なものと固定 (Non-adjustable) なものの 2 種類があります。調整可能なクォータは Service Quotas コンソールから引き上げリクエストを送信できます。承認までの所要時間はクォータの種類やリクエストの内容によって変わります。固定クォータは引き上げができません。対象のクォータがどちらに該当するかは、Service Quotas コンソールの調整可否の表示で確認します。引き上げリクエストの承認は自動化されているものと、AWS サポートチームの手動レビューが必要なものがあります。大幅な引き上げは手動レビューとなる場合があり、ユースケースの説明が求められることがあります。承認は保証されず、却下や一部のみの承認となることもあります。実務では、本番環境のローンチ前に必要なクォータを洗い出し、余裕を持って引き上げリクエストを送信する計画が重要です。特にイベント時のトラフィック急増に備え、Auto Scaling の最大値に対応するクォータが確保されているかを事前に確認しておきます。
CloudWatch アラームによるクォータ監視の設計
Service Quotas は CloudWatch メトリクスとしてクォータの使用率を公開しており、使用率が閾値を超えた際にアラームを発報する設定が可能です。例えば、EC2 の Running On-Demand Instances クォータの使用率が 80% を超えたら SNS で通知し、90% を超えたら PagerDuty にエスカレーションする多段アラームを構築できます。ただし、すべてのクォータが CloudWatch アラームに対応しているわけではなく、対応の有無は Service Quotas コンソールの各クォータの詳細ページで確認できます (対応するクォータには CloudWatch アラームの節が表示されます)。未対応のクォータについては、Lambda を定期実行して GetServiceQuota API と使用量を比較し、独自のメトリクスを CloudWatch にパブリッシュする補完設計が有効です。Trusted Advisor もクォータチェックを提供しますが、更新のタイミングと対象範囲は Service Quotas の CloudWatch 統合とは異なります。どちらを使うかは、必要な検知の速さと対象サービスの網羅性の 2 点で判断します。ダッシュボードに主要サービスのクォータ使用率を集約し、運用チームが日常的に確認する体制を整えておきます。
Organizations テンプレートによるマルチアカウント管理
Service Quotas の Organizations 統合では、クォータリクエストテンプレートを作成し、組織内に新規作成されるアカウントに対して自動的にクォータ引き上げをリクエストできます。テンプレートを更新しても既存アカウントのクォータ値は変わりません。これにより、新しいワークロードアカウントを作成するたびに手動でクォータ引き上げを申請する手間が省けます。テンプレートには、組織の標準的なワークロードに必要なクォータ値を定義します。テンプレートに書く値は、既存アカウントの使用実績と今後の計画をもとに自組織で決めます。ただし、テンプレートで設定できるのは引き上げリクエストの自動送信であり、承認が保証されるわけではない点に注意が必要です。大幅な引き上げは手動レビューとなる場合があります。テンプレートは組織全体に関連付けて新規アカウントに適用する仕組みのため、アカウントの用途 (開発用、本番用、データ分析用) による差分は、アカウント作成後の個別リクエストで補います。コスト管理の観点では、不必要に高いクォータを設定すると意図しないリソース作成を許容してしまうため、適切な上限設定がガバナンスとして機能します。
参考資料 (AWS 公式)
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