AI と ML の基礎
このドメインで学ぶこと
このドメインでは、人工知能 (AI)、機械学習 (ML)、深層学習 (DL) の関係、教師あり学習 / 教師なし学習 / 強化学習の違い、そして ML プロジェクトを進める一般的なライフサイクルを学びます。AIF-C01 の出題比率 20% を占める基礎ドメインで、後のすべての内容の土台になります。
重要ポイント
- AI ⊃ ML ⊃ DL の包含関係 - AI は最も広い概念、ML は AI の一手法、DL はニューラルネットワークによる ML の一手法
- 生成 AI とエージェント型 AI - 生成 AI は基盤モデルで新しいコンテンツを作る深層学習の応用、エージェント型 AI は目標に向けて複数の手順とツールを自律的に進める AI
- 従来の ML か基盤モデルか - 規制への対応、説明の必要性、運用の制約 (応答時間や費用) が厳しいほど従来の ML、幅広い入力を扱う用途ほど基盤モデルが向く
- 教師あり学習 - 入力と正解 (ラベル) のペアから学習。分類 (categorical) と回帰 (numerical) に分かれる
- 教師なし学習 - 正解ラベルなしでデータの構造を発見する。クラスタリング、次元削減、異常検知が代表例
- 強化学習 - エージェントが環境と相互作用し、報酬を最大化する行動を学習する
- ML ライフサイクル - データ収集 → 前処理 → 学習 → 評価 → デプロイ → モニタリングの繰り返し
- パイプラインの段階ごとの AWS サービス - 独自モデルの開発と運用は SageMaker AI、基盤モデルの組み込みは Bedrock、コードの作成は Kiro、業務での利用は Amazon Quick (英語版の試験ガイド 1.1 では Amazon Q も例に挙がる)
- 過学習 (overfitting) - 訓練データには合うがテストデータで性能が落ちる現象。汎化性能を保つ工夫が必要
- 推論 (inference) - 学習済みモデルに新しい入力を与えて予測を得る処理。リアルタイム、バッチ、非同期、サーバーレスの 4 方式がある
用語と概念
AI、機械学習、深層学習の関係
AI は「人間の知的振る舞いを模倣する技術」全般を指す広い概念です。ML は「データから自動的にルールを学習する」AI の一手法、DL は「多層ニューラルネットを使う」ML の一手法です。生成 AI のほとんどは DL の応用です。
生成 AI とエージェント型 AI の位置づけ
生成 AI は、深層学習で作られた基盤モデルを使って文章、画像、コードなどの新しいコンテンツを作る分野です。エージェント型 AI は、与えられた目標に向けて計画を立て、複数の手順とツールの呼び出しを自律的に進める AI です。従来の AI が指示を受けるたびに 1 回ずつ応答するのに対し、エージェント型 AI は基盤モデルの推論を使いながら、目標に届くまで判断と実行を繰り返します。
従来の ML か基盤モデルか
判断の根拠を規制当局や顧客へ説明する必要がある審査には、仕組みが単純で説明しやすい従来の ML モデルが向きます。応答時間や 1 件あたりの費用の上限が厳しいといった運用の制約がある場合も、小さな従来のモデルが合います。文章の要約や対話のように幅広い入力を扱い、用途ごとに学習データを用意しにくい場面では基盤モデルが向きます。決まった規則で書ける処理なら、そもそも ML を使いません。
教師あり学習と教師なし学習
教師あり学習はラベル付きデータから学び、画像分類や売上予測に使います。教師なし学習はラベルなしデータから構造を見つけ、顧客セグメンテーションや異常検知に使います。半教師あり学習は両者の中間です。
強化学習 (Reinforcement Learning)
エージェント (学習者) が環境に対して行動を選び、その結果として得る報酬を最大化するように戦略を学ぶ手法です。ゲーム AI、ロボット制御、レコメンドの最適化、生成 AI の RLHF (人間のフィードバックによる強化学習) で使われます。
過学習と汎化
過学習は訓練データに合わせすぎて未知のデータで性能が落ちる現象です。データ量を増やす、正則化、ドロップアウト、交差検証などで防ぎます。逆に学習不足 (underfitting) はモデルが単純すぎて訓練データすら学べない状態です。汎化の度合いは訓練に使っていないテストデータで測り、分類モデルでは正解率に加えて、適合率 (陽性と予測したうち本当に陽性だった割合)、再現率 (本当の陽性のうち見つけられた割合)、両者の調和平均の F1 スコアを見ます。
AI / ML パイプラインの段階ごとの AWS サービス
データの準備からモデルの学習、評価、デプロイ、監視までを自分で進める段階では Amazon SageMaker AI を使います。基盤モデルを学習なしで API から呼び出してアプリケーションに組み込む段階では Amazon Bedrock が中心になります。そのアプリケーションのコードを書く段階では Kiro、できあがった AI を業務で使う段階では Amazon Quick が受け皿になります。英語版の試験ガイド 1.1 では、Amazon Q も例に挙がっています (名称と区分は 2026 年 10 月時点)。
→ Amazon Bedrock 用語集 / → Kiro によるスペック駆動開発 / → Amazon Quick の実践活用
推論 (Inference) の方式
リアルタイム推論はリクエストごとに即座に予測を返す方式で、低レイテンシが要る用途 (例: チャットボット) に使います。バッチ推論はまとまったデータを一度に処理する方式 (例: 夜間に全顧客の購買予測) で、常時動かすエンドポイントが要りません。非同期推論はリクエストを列に並べて順に処理する方式で、入力が大きいものや処理に時間がかかるものに向き、リクエストが無い間はインスタンスを 0 台まで減らせます。サーバーレス推論はインスタンスの種類や増減の設定を選ばずに使え、呼び出しの量に応じて自動で増減する従量課金の方式です。呼び出しの合間に空き時間があり、起動の待ち時間 (コールドスタート) を許せる用途に向きます。