VMware ワークロードのクラウド移行 - Amazon EVS で既存環境をそのまま AWS へ
Amazon Elastic VMware Service (EVS) を使った VMware ワークロードの AWS 移行を解説。VPC 統合、HCX による移行手順、オンプレミスとの接続設計を紹介します。
VMware 環境のクラウド移行が求められる背景
多くの企業が 10 年以上にわたり VMware vSphere を基盤に仮想化環境を構築してきました。しかし、Broadcom による VMware 買収後のライセンス体系変更 (永続ライセンスからサブスクリプションへの移行、バンドル構成の変更) により、オンプレミスでの VMware 運用コストが大幅に増加するケースが報告されています。加えて、データセンターの老朽化、ハードウェア更改サイクルの負担、DR サイト維持コストといった課題も重なり、VMware ワークロードのクラウド移行を検討する企業が増えています。Amazon EVS は、VMware Cloud Foundation (VCF) を AWS 上でネイティブに実行できるサービスで、既存の vCenter、vSAN、NSX をそのまま利用しながら AWS のスケーラビリティとサービス群を活用できます。
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Amazon EVS のアーキテクチャと VPC 統合
Amazon EVS の最大の特徴は、VMware 環境が Amazon VPC 内に直接デプロイされる点です。従来の VMware Cloud on AWS (VMC) が専用の SDDC 環境を提供していたのに対し、EVS は顧客の VPC 内で動作するため、AWS サービスとのネットワーク統合がシンプルになります。ESXi ホストは i4i.metal インスタンス上で動作し、最小 4 ホストから最大 64 ホストまでスケールできます。VPC 内のサブネットに直接接続されるため、RDS、S3、Lambda、EKS などの AWS サービスとプライベート IP で通信でき、NAT やプロキシを経由する必要がありません。NSX によるネットワーク仮想化はそのまま利用でき、マイクロセグメンテーションやロードバランシングの設定を移行元から引き継げます。
HCX を使った移行手順とダウンタイム最小化
VMware HCX (Hybrid Cloud Extension) は、オンプレミスから EVS へのワークロード移行を支援するツールです。HCX vMotion を使えば、仮想マシンを稼働させたままライブマイグレーションが可能で、ダウンタイムをほぼゼロに抑えられます。大量の VM を一括移行する場合は HCX Bulk Migration を使い、メンテナンスウィンドウ内で効率的に移行します。移行の流れは、(1) EVS クラスタのデプロイ、(2) オンプレミスと EVS 間の HCX ペアリング、(3) ネットワーク拡張 (L2 延伸) の設定、(4) 移行対象 VM の選定と移行実行、(5) DNS 切り替えとネットワーク収束です。L2 延伸により移行中も IP アドレスを変更する必要がなく、アプリケーション間の通信が途切れません。移行完了後に L2 延伸を解除し、EVS 側のネットワークに収束させます。
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まとめ - EVS による VMware 移行の指針
Amazon EVS は、VMware 環境をそのまま AWS に持ち込める移行パスを提供します。VPC 統合による AWS サービスとのシームレスな連携、HCX によるダウンタイム最小化の移行、既存の運用手順の継続利用が主な強みです。Broadcom のライセンス変更への対応、データセンター統廃合、DR サイトのクラウド化を検討している企業に適しています。移行計画では、まず対象ワークロードの依存関係を整理し、移行ウェーブ (グループ) を定義してから段階的に移行を進めることを推奨します。
AWS の優位点
- VMware Cloud Foundation (VCF) を AWS 上でネイティブに実行し、vCenter・vSAN・NSX をそのまま利用可能
- Amazon VPC 内に直接デプロイされるため、RDS・S3・Lambda など 200 以上の AWS サービスとプライベート接続で統合できる
- VMware HCX によるライブマイグレーション (vMotion) でダウンタイムを最小化した移行が可能
- オンプレミスの IP アドレス体系や運用手順をそのまま維持でき、アプリケーションの書き換えが不要
- i4i.metal インスタンスを基盤とし、最小 4 ホストから最大 64 ホストまでスケール可能
- Broadcom のライセンス変更に伴う VMware コスト増への対応策として、AWS インフラへの移行が有効
- Direct Connect や Site-to-Site VPN でオンプレミスとのハイブリッド構成を構築可能