AWS MGN による大規模移行の計画と実行 - ウェーブ設計とカットオーバー自動化
数百台規模のサーバー移行をウェーブ設計で計画し、カットオーバーの自動化スクリプトと移行後の最適化手法を紹介します。
ウェーブ設計の考え方
大規模移行では全サーバーを一度に移行するのではなく、ウェーブ (移行バッチ) に分割して段階的に実行します。ウェーブの設計はアプリケーションの依存関係に基づきます。Web サーバー、アプリケーションサーバー、データベースサーバーが密結合しているアプリケーションは同一ウェーブに含め、同時にカットオーバーします。最初のウェーブは低リスクなアプリケーション (開発環境、社内ツール) で構成し、移行プロセスの検証と改善を行います。後続のウェーブで本番アプリケーションを移行し、最終ウェーブで最もクリティカルなシステムを移行する段階的アプローチが一般的です。
カットオーバーの自動化
MGN の起動後アクション (Post-launch actions) は、カットオーバー後の EC2 インスタンスに自動的にスクリプトを実行する機能です。Systems Manager Run Command と統合し、DNS レコードの更新、監視エージェントのインストール、アプリケーション設定の変更、ヘルスチェックの実行を自動化できます。アプリケーションテンプレートで移行先の EC2 設定 (インスタンスタイプ、サブネット、セキュリティグループ、IAM ロール、タグ) を標準化し、同じ役割のサーバーに一貫した構成を適用します。テスト起動とカットオーバーの両方で同じテンプレートが使用されるため、テスト環境と本番環境の構成差異を排除できます。
移行後の最適化
移行直後はオンプレミスと同じスペックの EC2 インスタンスで稼働させ、安定性を確認します。 2-4 週間の運用データが蓄積された後、 AWS Compute Optimizer の推奨に基づいてインスタンスタイプを適正化します。オンプレミスでは余裕を持ったスペックで運用していたサーバーが多く、適正化により 30-50% のコスト削減が期待できます。 Graviton (Arm ベース) インスタンスへの移行も検討し、同等の性能で最大 40% のコスト削減を実現できます。移行後の最適化は一度で終わりではなく、定期的に Compute Optimizer の推奨を確認し、継続的にコストを最適化するプロセスを確立します。 サーバー移行の基礎から応用まで、書籍 (Amazon)で体系的に学べます。
MGN の料金
MGN 自体の利用料金は無料です。コストはレプリケーション用の EC2 インスタンス (軽量な t3.small が自動作成)、EBS ボリューム (レプリケーションデータの保存)、テストインスタンスとカットオーバーインスタンスの EC2 料金で構成されます。レプリケーション中は継続的にコストが発生するため、移行期間を短縮することがコスト最適化の鍵です。テストインスタンスは検証完了後に速やかに終了し、カットオーバー後のソースサーバーのレプリケーションも停止します。
まとめ
大規模移行ではウェーブ設計による段階的な実行、起動後アクションによるカットオーバーの自動化、移行後の Compute Optimizer による最適化が成功の鍵です。MGN と Migration Hub の組み合わせで数百台規模の移行を一元管理し、リスクを最小化しながら効率的に移行を完了できます。