AWS IoT FleetWise

コネクテッドカーから走行データや車両信号を効率的に収集 / 変換し、クラウドへ転送して分析 / 活用できるフルマネージドサービス

概要

AWS IoT FleetWise は、自動車メーカーや車両フリート運用者が、コネクテッドカーから車両信号データを効率的に収集し、クラウドに転送するためのフルマネージドサービスです。CAN バスや OBD-II などの車載ネットワークプロトコルから取得した生データを、標準化されたフォーマットに変換してクラウドに送信します。Vehicle Signal Specification (VSS) に基づくデータモデリングにより、車種やメーカーが異なっても統一的なデータ構造で分析できます。エッジでのインテリジェントなデータフィルタリングにより、必要なデータのみを転送することで通信コストを大幅に削減し、数百万台規模の車両フリートからのデータ収集を実現します。

車両データモデリングと信号カタログ

AWS は、AWS IoT FleetWise の新規顧客向けの受付を終了しており、既存の顧客は引き続き利用できると告知しています (2026 年 10 月時点)。FleetWise の中核機能は、車両信号のデータモデリングです。Signal Catalog に車両から取得可能な全信号 (エンジン回転数、車速、バッテリー電圧、タイヤ空気圧など) を定義し、Vehicle Model でそれらを車種ごとの構成にマッピングします。VSS (Vehicle Signal Specification) 標準に準拠したツリー構造で信号を階層的に管理でき、Vehicle.Powertrain.Engine.Speed のようなパスで一意に識別します。信号ごとにデータ型、単位、最小値 / 最大値を定義します。複数車種で共通する信号 (車速、GPS 座標など) は Signal Catalog で一度定義すれば再利用でき、新車種の追加時にはモデル固有の信号だけを追加定義すれば済みます。この標準化されたデータモデルにより、車種横断の分析やベンチマーク比較が容易になります。

エッジでのインテリジェントデータ収集

Edge Agent は車両に入れるソフトウェアで、AWS IoT FleetWise はその開発を助けるリファレンス実装を提供しています。Edge Agent は CAN バスなどの車載ネットワークから信号を読み取ります。Campaign 機能でデータ収集の条件を定義し、「急ブレーキ発生時の前後 10 秒間のデータ」「バッテリー電圧が閾値を下回った時のスナップショット」のように、イベントドリブンで必要なデータのみを収集できます。収集の方式には、時間ベースの定期収集と条件ベースのイベント収集があります。Campaign の spoolingMode が TO_DISK の設定では、車両がクラウドにつながっていない間のデータを Edge Agent が車内に一時保存し、接続が戻ると自動で転送します (既定値は OFF / 2026 年 10 月時点)。

大規模フリート運用とデータ活用パターン

Campaign の展開先は車両 1 台かフリート (車両のまとまり) で、地域やモデル年式でまとめたフリートごとに段階的に展開する運用もあります。収集したデータの送り先は、Campaign ごとに MQTT トピック、S3、Timestream から 1 つを選びます。S3 に保存したデータは Athena で SQL 分析でき、Timestream は車両データを保存して分析する時系列データベースです。データ活用の代表的なパターンとして、予知保全 (部品の劣化傾向を検知して故障前に交換)、運転行動分析 (急加速 / 急減速の頻度から安全スコアを算出)、OTA アップデートの効果検証 (ソフトウェア更新前後の燃費比較) があります。FleetWise のデータを SageMaker に連携し、異常検知モデルを構築するパイプラインもあります。

参考資料 (AWS 公式)

本ページの一次情報は AWS 公式サイトと公式ドキュメントです。最新の仕様と料金は次の公式ページで確認できます。

本ページと公式ドキュメントの記述が食い違う場合は、公式ドキュメントを正としてください。

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