AWS Local Zones

AWS のコンピュート、ストレージ、データベースを大都市圏の近くに配置し、エンドユーザーに一桁ミリ秒のレイテンシを提供するインフラ拡張

概要

AWS Local Zones は、AWS リージョンのインフラストラクチャを大都市圏の近くに拡張する仕組みです。EC2、EBS、ECS、EKS、RDS、ElastiCache などの AWS サービスを、エンドユーザーに物理的に近い場所で実行することで、一桁ミリ秒のレイテンシを実現します。親リージョンの VPC をLocal Zone のサブネットに拡張する形で利用するため、既存のアーキテクチャに自然に組み込めます。2024 年時点で世界 30 以上の都市に展開されています。

Local Zones が解決するレイテンシ問題

東京リージョン (ap-northeast-1) から大阪のユーザーにサービスを提供する場合、ネットワークのラウンドトリップタイムは通常 10-20 ミリ秒です。多くのアプリケーションではこの遅延は問題になりませんが、リアルタイムゲーム、ライブ動画編集、金融取引、AR/VR アプリケーションでは一桁ミリ秒のレイテンシが要求されます。Local Zone をユーザーの近くに配置することで、ラウンドトリップタイムを 1-5 ミリ秒に短縮できます。Local Zone は親リージョンの VPC のサブネットとして作成されるため、VPC 内の他のリソースとプライベート IP で通信できます。レイテンシに敏感なフロントエンド処理 (Web サーバー、API サーバー、キャッシュ) を Local Zone に配置し、バックエンド処理 (データベース、バッチ処理) は親リージョンに残す構成が一般的です。Local Zone の有効化はアカウント設定からオプトインするだけで、追加の契約は不要です。

利用可能なサービスと設計上の制約

Local Zone で利用できるサービスは親リージョンのサブセットです。EC2 (限定されたインスタンスタイプ)、EBS (gp2、gp3、io1)、ECSEKS、ALB、RDS (一部エンジン)、ElastiCache が主要な利用可能サービスです。S3 は Local Zone には配置できず、親リージョンの S3 を使用します。利用可能なインスタンスタイプは Local Zone ごとに異なり、最新の GPU インスタンスが利用できる Local Zone もあれば、汎用インスタンスのみの Local Zone もあります。設計上の制約として、Local Zone は単一のデータセンターで構成されるため、AZ レベルの冗長性はありません。高可用性が必要な場合は、複数の Local Zone または親リージョンの AZ と組み合わせたフェイルオーバー構成を設計する必要があります。Auto Scaling グループを Local Zone のサブネットと親リージョンのサブネットの両方にまたがるように設定し、Local Zone の障害時に親リージョンにフォールバックするパターンが推奨されます。データ転送料金は、Local Zone と親リージョン間の通信に対して AZ 間転送と同等の料金が発生します。

メディア・エンターテインメント業界での活用事例

Local Zones が最も活用されている業界の 1 つがメディア・エンターテインメントです。ロサンゼルスの Local Zone は、ハリウッドの映画・テレビ制作スタジオ向けに設計されており、GPU インスタンス (g4dn、g5) を使った VFX レンダリング、動画エンコーディング、リアルタイムのカラーグレーディングを低レイテンシで実行できます。制作スタジオのオンプレミス環境から Direct Connect で Local Zone に接続し、大容量の映像素材をローカルに近い速度で転送しながらクラウドのスケーラビリティを活用するハイブリッド構成が実現します。ゲーム業界では、マルチプレイヤーゲームのマッチメイキングサーバーやゲームセッションサーバーを Local Zone に配置し、プレイヤーに低レイテンシのゲーム体験を提供しています。GameLift と組み合わせて、プレイヤーの地理的位置に基づいて最寄りの Local Zone にセッションを配置する動的なサーバー配置も可能です。日本では大阪の Local Zone が利用可能で、関西圏のユーザーに対するレイテンシ改善に活用できます。

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