AWS Storage Gateway
オンプレミスのアプリケーションに S3、FSx、EBS のストレージをファイル共有、ボリューム、テープライブラリとして透過的に提供するハイブリッドクラウドストレージサービス
概要
AWS Storage Gateway は、オンプレミスの IT 環境と AWS のクラウドストレージをシームレスに接続するハイブリッドストレージサービスです。オンプレミスの VM またはハードウェアアプライアンスとしてデプロイされ、NFS/SMB ファイル共有、iSCSI ブロックボリューム、仮想テープライブラリの 3 つのインターフェイスを提供します。頻繁にアクセスされるデータはローカルキャッシュに保持し、全データは AWS のストレージサービスに自動的にバックアップされます。
4 種類のゲートウェイタイプとユースケース
Storage Gateway は S3 File Gateway、FSx File Gateway、Volume Gateway、Tape Gateway の 4 タイプを提供します。S3 File Gateway は NFS/SMB プロトコルでファイルを受け取り、S3 バケットにオブジェクトとして格納します。オンプレミスのアプリケーションからは通常のファイル共有に見えますが、裏側では S3 の耐久性とスケーラビリティを活用できます。FSx File Gateway は FSx for Windows File Server へのローカルキャッシュ付きアクセスを提供し、Active Directory 統合が必要な Windows ファイル共有のハイブリッド構成に適しています。Volume Gateway はキャッシュ型とストア型の 2 モードがあり、iSCSI プロトコルでブロックストレージを提供します。キャッシュ型は全データを S3 に格納しホットデータのみローカルにキャッシュ、ストア型は全データをローカルに保持し非同期で S3 にバックアップします。Tape Gateway は仮想テープライブラリ (VTL) として動作し、既存のバックアップソフトウェア (Veeam、Commvault、Veritas) からテープバックアップの代替として使用できます。
キャッシュ設計と帯域制御
Storage Gateway のパフォーマンスはローカルキャッシュの設計に大きく依存します。キャッシュディスクにはワーキングセット (頻繁にアクセスされるデータ) が収まるサイズを割り当てる必要があり、キャッシュヒット率が低下するとすべてのアクセスが WAN 経由になりレイテンシが急増します。CloudWatch の CacheHitPercent メトリクスを監視し、80% を下回る場合はキャッシュディスクの増設を検討します。S3 File Gateway の場合、キャッシュディスクの最小サイズは 150 GB、最大は 64 TB です。帯域制御機能により、ゲートウェイが使用するネットワーク帯域に上限を設定できます。業務時間中は帯域を制限し、夜間に全帯域を使ってデータをアップロードするスケジュールも構成可能です。アップロードバッファディスクは、S3 へのアップロード待ちデータを一時的に格納する領域で、ネットワーク帯域が限られた環境では十分なサイズを確保しないとバッファ溢れによる書き込みエラーが発生します。
VM デプロイとハードウェアアプライアンス
Storage Gateway は VMware ESXi、Microsoft Hyper-V、KVM 上の仮想マシンとしてデプロイするのが最も一般的です。VM の最小要件はゲートウェイタイプによって異なりますが、S3 File Gateway の場合は 4 vCPU、16 GB RAM、150 GB のキャッシュディスクが最小構成です。本番環境では 8 vCPU、32 GB RAM 以上が推奨されます。仮想化環境がない場合やハードウェアの管理を簡素化したい場合は、AWS が提供するハードウェアアプライアンスを利用できます。1U ラックマウントサーバーとして提供され、事前にゲートウェイソフトウェアがインストールされた状態で出荷されます。EC2 インスタンス上にゲートウェイをデプロイすることも可能で、AWS 内のワークロードから S3 File Gateway 経由でファイルアクセスするパターンや、DR 環境でのボリュームリカバリに使われます。ゲートウェイの更新はメンテナンスウィンドウ内で自動的に適用され、通常は数分のダウンタイムで完了します。高可用性が必要な場合は、VMware HA クラスター上にゲートウェイ VM を配置し、ホスト障害時の自動フェイルオーバーを構成します。