AWS Network Manager でグローバルネットワークを可視化 - トポロジーと健全性の一元管理

Transit Gateway や VPN を含むグローバルネットワークのトポロジーを可視化し、ルート分析で接続性を検証する手法を紹介します。

Network Manager の概要

Network Manager はグローバルネットワークのトポロジーと健全性を一元管理するサービスです。Transit Gateway、Site-to-Site VPN、Direct Connect の接続関係を視覚的に把握し、ネットワーク変更のイベントを自動検出します。ルート分析で接続性の問題を事前に検出し、Cloud WAN との統合でポリシーベースのネットワーク管理を実現します。

トポロジーとルート分析

グローバルネットワークを作成し、Transit Gateway を登録すると、アタッチされた VPC、VPN 接続、Direct Connect の接続関係がトポロジーマップに自動表示されます。ルート分析はソースとデスティネーションを指定してパケットの経路をシミュレーションし、ルートテーブルの設定ミスやセキュリティグループのブロックを検出します。ネットワークイベントは VPN トンネルの状態変化、BGP ピアの切断、Transit Gateway のアタッチメント変更を自動検出し、EventBridge 経由で通知します。

CloudWAN との統合

AWS Cloud WAN を Network Manager に統合すると、コアネットワークポリシーでグローバルネットワークのセグメンテーションとルーティングを一元管理できます。ポリシーベースでアタッチメント (VPC 、 VPN 、 Direct Connect) をセグメントに割り当て、セグメント間の通信許可を制御します。 Network Manager のダッシュボードで Cloud WAN のコアネットワークトポロジー、各セグメントのトラフィック量、接続の健全性をリアルタイムに可視化します。ネットワーク変更 (新しい VPC のアタッチ、ルートの追加) は EventBridge イベントとして発行され、変更管理の監査証跡として活用できます。 Reachability Analyzer と組み合わせて、特定の送信元から宛先への到達可能性を事前検証し、ルーティング設定の誤りを防止します。 ネットワーク管理の構成パターンを網羅的に学ぶなら、技術書 (Amazon)を参照してください。

Network Manager の料金

Network Manager 自体の利用料金は無料です。コストは管理対象のリソース (Transit Gateway、Direct Connect、VPN) の利用料金に依存します。Cloud WAN を使用する場合は、コアネットワークエッジのアタッチメント数とデータ処理量で課金されます。ピアリングアタッチメントはリージョン間のデータ転送料金が発生するため、リージョン間トラフィックの量を事前に見積もることが重要です。Network Manager のルート分析やトポロジー可視化は追加料金なしで利用でき、ネットワーク運用の効率化に直接貢献します。

拠点とデバイスの登録による可視化

Network Manager は、AWS 上の接続だけでなく、オンプレミスの拠点も含めた全体像を表現できます。サイト (物理的な拠点)、リンク (回線)、デバイス (ルーターなどの機器) を登録すると、それらと AWS 側の接続関係がトポロジーマップ上で一体的に把握できます。これにより、本社・支社・データセンターと AWS をまたぐネットワークの全容を、一枚の地図として俯瞰できます。物理拠点とクラウドの境界をまたいで構成を可視化できるため、複雑なハイブリッド環境でも、どこがどうつながっているかを見失わずに管理できます。

ネットワークイベントの検知と通知

Network Manager は、VPN トンネルの状態変化、BGP ピアの切断、アタッチメントの変更といったネットワークイベントを自動で検知します。これらは EventBridge のイベントとして発行されるため、異常を検知したら通知を送る、関連する自動処理を起動する、といった仕組みを組めます。変更の履歴はそのまま変更管理の証跡になり、いつ何が変わったかを追跡できます。障害の予兆や設定変更を見逃さず、運用チームが素早く反応できる体制を作れる点が、可観測性の面での大きな価値です。

マルチリージョン運用での価値

Network Manager の効果が最も大きいのは、複数リージョンにまたがる大規模なネットワークです。リージョンごとに分散した Transit Gateway や接続を一つのグローバルネットワークとしてまとめ、全体のトポロジーと健全性を単一のダッシュボードで把握できます。リージョンを横断する経路の問題は切り分けが難しくなりがちですが、可視化とルート分析により、どこで通信が止まっているかを特定しやすくなります。世界各地に拠点を持つ環境ほど、全体を俯瞰できる管理基盤の恩恵を受けられます。

導入の進め方と既存構成との統合

Network Manager は既存の Transit Gateway や VPN をそのまま登録して使い始められるため、導入のハードルは低めです。まずグローバルネットワークを作成し、既存リソースを登録してトポロジーを可視化することから始めます。利用料金自体は無料で、可視化やルート分析を追加コストなしに利用できるため、まず有効化して現状把握に役立てるのが合理的です。将来的にポリシーベースの管理へ移行したい場合は、Cloud WAN と統合してセグメンテーションを宣言的に管理する段階へ進めます。

まとめ

Network Manager の導入は、Transit Gateway や VPN を使用しているマルチリージョン環境で特に効果的です。トポロジーマップで接続の全体像を可視化し、ルート分析で意図しないルーティングを検出します。Cloud WAN との統合でポリシーベースのネットワーク管理に移行すれば、ルーティングの設定を宣言的に管理でき、ネットワーク変更の影響範囲を事前に評価できます。無料で利用できるため、複数リージョンにまたがるネットワークを運用するすべての環境で有効化を推奨します。