AI の基礎とリテラシー
このドメインで学ぶこと
このドメインでは、AI、機械学習 (ML)、生成 AI の違いや、モデル、学習、推論といった基本の用語を、ビジネスの文脈で説明できる力を学びます。あわせて、規則に基づく自動化と AI の使い分け、AI エージェントの特徴、モデルドリフトへの備え、シャドー AI への対策など、AI を選んで使い続けるための判断を扱います。生成 AI については、プロンプトの書き方、トークンの上限、RAG とファインチューニングの使い分けを業務の水準で理解することがゴールです。技術の細部ではなく、経営や事業の判断に必要な理解の深さが問われます。
重要ポイント
- AI、ML、生成 AI の関係 - AI の中に ML があり、その中に深層学習がある。生成 AI は文章や画像などのコンテンツを作る分野
- モデルと推論 - モデルは学習の成果物、推論は学習済みのモデルを使って予測や生成を行う工程。日々の利用の費用は推論で生じる
- 構造化データと非構造化データ - 表の形で整ったデータと、文章、画像、音声のような形の決まっていないデータ。生成 AI は非構造化データの活用を広げた
- データの品質 - AI は過去のデータから学ぶため、データの品質が結果を決め、過去の偏りもそのまま引き継ぐ
- AI の国際規格 - ISO/IEC 22989 は AI の概念と用語、ISO/IEC 23053 は ML を使う AI システムの枠組み、ISO/IEC 42001 は認証を受けられる AI マネジメントシステムの規格
- 規則に基づく自動化を選ぶ場面 - 規則が明確で、判断の完全な説明が必要で、誤りが許されない処理
- AI を選ぶ場面 - パターンが複雑で例外が多く、規則で書き切れない処理
- AI エージェント - 自律性、ツールの利用、エージェント同士の連携、オーケストレーションを備え、答えるだけでなく行動まで行う
- モデルドリフト - 本番でデータや前提が変わり、性能が少しずつ落ちる現象。監視と更新を続けて備える
- シャドー AI 対策 - AI ツールを承認、ブロック、評価中に分けて公開し、承認済みの代替と教育を組み合わせる
- プロンプトの基本 - 役割、文脈、指示、出力の形を具体的に書くと、望む出力に近づく
- トークンとコンテキストウィンドウ - 一度に扱える量には上限があり、超えると情報が抜け落ちて回答の質が落ちる
- 回答を改善する順序 - プロンプトの工夫、RAG (知識を足す)、ファインチューニング (振る舞いを合わせる) の順に検討する
用語と概念
AI、機械学習、生成 AI の違い
AI は人の知的な働きを機械で再現する技術の総称で、ML はデータから規則性を学ぶ AI の手法、深層学習は多層のニューラルネットワークを使う ML の一種です。生成 AI は、大量のデータで学んだ基盤モデルを使って文章や画像などの新しいコンテンツを作る分野です。試験では、業務の課題に対してどの種類の技術が当てはまるかを見分ける力が問われます。
アルゴリズム、モデル、学習、推論
アルゴリズムはデータから学ぶための手順、モデルはその手順で過去のデータから学んだ成果物です。学習はモデルを作る工程、推論は学習済みのモデルで新しいデータに対して予測や生成を行う工程を指します。基盤モデルを使う場合は学習済みのモデルを借りるため、日々の費用の中心は推論になります。
データの種類と品質
売上表や顧客台帳のような構造化データに対し、メール、契約書、画像、通話の録音などは非構造化データです。生成 AI によって非構造化データを業務に活かせる場面が広がりました。一方で、AI は学習したデータの品質と偏りをそのまま結果に映すため、データの正確さ、網羅性、鮮度の確認が欠かせません。
規則に基づく自動化と AI の使い分け
経費の上限チェックのように規則が明確で、判断の理由を完全に説明でき、誤りが許されない処理は、AI ではなく規則に基づく自動化が適しています。問い合わせ文の分類や需要の予測のように、パターンが複雑で例外が多い処理は AI が向いています。AI で解く必要のない問題に AI を当てる選択肢は、費用と説明の難しさが増えるだけになりがちです。
AI エージェント
AI エージェントは、与えられた目標に向けて自分で手順を決め、外部のツールやシステムを呼び出して作業を進める仕組みです。質問に答えるだけのチャットボットと違い、予約の登録や伝票の作成のような行動まで行います。複数のエージェントが役割を分けて連携し、全体の流れをオーケストレーションで制御する形もあります。
モデルドリフトと継続的な監視
本番で使う AI は、顧客の行動や市場、入力データの傾向が変わると、導入時より性能が落ちていきます。この現象をモデルドリフトと呼び、AI は導入して終わりではなく、性能の監視、再評価、更新を続ける前提で計画します。監視と再学習の費用も運用費として見込んでおく必要があります。
シャドー AI
組織が承認していない AI ツールを従業員が業務に使うことをシャドー AI と呼び、機密情報の流出や規制違反の原因になります。対策は、AI ツールを承認、ブロック、評価中に分類して公開し、承認済みの代替を用意して教育することです。全面禁止は代わりの手段がないため隠れた利用を増やしやすく、誤答の型になります。
プロンプトとコンテキストウィンドウ
プロンプトには、モデルに担ってほしい役割、背景となる文脈、具体的な指示、出力の形を明確に書くと、望む回答に近づきます。モデルが一度に扱えるトークンの量には上限 (コンテキストウィンドウ) があり、長い資料を丸ごと渡すと情報が抜け落ちて回答の質が下がります。資料を絞る、要約して渡すといった工夫が必要になります。
RAG とファインチューニング
RAG は、社内文書などの外部の知識を検索してプロンプトに加え、最新で根拠のある回答を出す手法です。ファインチューニングは、追加のデータで基盤モデルを学習させ、口調、書式、専門分野での振る舞いを合わせる手法です。新しい知識を反映したいなら RAG、振る舞いを変えたいならファインチューニングで、まずはプロンプトの改善から試すのが基本の順序です。Amazon Bedrock Knowledge Bases は、社内の文書の取り込みから検索までを管理された形で提供し、RAG を一から組まずに使えます。
AI の国際規格
ISO/IEC 22989 は AI の概念と用語を定めた規格で、関係者が同じ言葉で話すための土台になります。ISO/IEC 23053 は ML を使う AI システムの構成要素を示す枠組みです。ISO/IEC 42001 は、組織が AI を管理する仕組み (AI マネジメントシステム) の要求事項を定めた規格で、第三者の認証を受けられます。用語なら 22989、ML を使うシステムの枠組みなら 23053、認証を受けられる管理の仕組みなら 42001 と覚えます。
理解度チェック
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