Amazon EVS でハイブリッドクラウドを運用する - DR サイト構築とバースト対応
Amazon EVS を活用したハイブリッドクラウド運用を解説。DR サイトの構築、オンデマンドのキャパシティバースト、AWS サービスとの統合パターンを紹介します。
EVS を活用したハイブリッドクラウドの設計パターン
Amazon EVS はオンプレミス VMware 環境の延長として機能するため、ハイブリッドクラウドの構築に適しています。代表的な設計パターンは 3 つあります。(1) DR サイトパターン: オンプレミスをプライマリ、EVS をセカンダリとし、VMware SRM で自動フェイルオーバーを構成します。オンプレミスの障害時に EVS 上で VM を起動し、復旧後にフェイルバックします。(2) バーストパターン: 通常時はオンプレミスで運用し、繁忙期やキャパシティ不足時に EVS にワークロードを拡張します。HCX vMotion で VM をライブ移行し、ピーク後にオンプレミスに戻します。(3) 開発・テストパターン: 本番環境はオンプレミス、開発・テスト環境を EVS 上にオンデマンドで展開し、不要時にクラスタごと削除してコストを最適化します。
DR サイトの構築と RTO/RPO の設計
EVS を DR サイトとして利用する場合、VMware SRM (Site Recovery Manager) と vSphere Replication を組み合わせます。vSphere Replication はオンプレミスの VM を EVS に非同期レプリケーションし、RPO (目標復旧時点) は最短 5 分から設定可能です。SRM はリカバリプランを定義し、フェイルオーバー時の VM 起動順序、IP アドレスの再マッピング、DNS 更新を自動化します。RTO (目標復旧時間) は VM 数と起動順序に依存しますが、数十台規模であれば 15〜30 分程度が目安です。オンプレミスの DR サイトと比較した EVS の利点は、ハードウェアの事前調達が不要な点と、DR テスト (フェイルオーバー訓練) を本番に影響なく実施できる点です。DR サイトを常時稼働させる必要がない場合は、パイロットライト構成 (最小構成で待機し、障害時にスケールアウト) でコストを抑えられます。
AWS サービスとの統合による運用強化
EVS は VPC 内で動作するため、 AWS のマネージドサービスと直接統合できます。バックアップでは、 AWS Backup が EVS 上の VM をサポートしており、 VM レベルのバックアップ・リストアをポリシーベースで自動化できます。バックアップデータは S3 に保存され、ライフサイクルポリシーで Glacier に自動移行することで長期保存コストを削減できます。監視では、 CloudWatch に EVS ホストのメトリクス (CPU 、メモリ、ストレージ使用率) を送信し、 vCenter のアラートと合わせて一元的に監視できます。セキュリティでは、 GuardDuty が VPC フローログを分析して EVS 環境への不審なアクセスを検出し、 Security Hub でセキュリティ態勢を一元管理できます。これらの統合により、 VMware の運用ツールと AWS のマネージドサービスを組み合わせた効率的な運用が実現します。 災害復旧 DR の基礎から応用まで、書籍 (Amazon)で体系的に学べます。
EVS ハイブリッド運用のコスト
EVS の DR サイトパターンでは、平常時は最小 3 ホスト構成 (月額約 23,544 ドル) で待機し、災害時にホストを追加してワークロードを受け入れます。バースト対応パターンでは、ピーク時のみ EVS ホストを追加し、ピーク後に削除することでコストを変動費化できます。HCX のライブマイグレーション (vMotion) でオンプレミスと EVS 間の VM 移動が可能で、ワークロードの配置を柔軟に調整できます。オンプレミスの VMware 環境の年間運用コスト (ハードウェア更新、データセンター費用、人件費) と EVS のコストを比較し、ハイブリッド構成の経済合理性を評価します。
まとめ - EVS ハイブリッド運用の指針
Amazon EVS は DR サイト、キャパシティバースト、開発・テスト環境のオンデマンド展開など、多様なハイブリッドクラウドパターンを実現します。VPC 統合による AWS サービスとの連携、SRM による自動フェイルオーバー、AWS Backup による VM レベルの保護が運用の柱です。まずは DR サイトの構築から始め、運用に慣れた段階でバーストや開発環境の展開に拡大するステップバイステップのアプローチを推奨します。