AWS Ground Station

人工衛星との通信を従量課金で利用でき、衛星データのダウンリンクとコマンドアップリンクをクラウドネイティブに処理するサービス

概要

AWS Ground Station は、世界各地に配置された衛星地上局アンテナを従量課金で利用し、人工衛星との通信 (ダウンリンク・アップリンク) をマネージドサービスとして提供します。従来は数百万ドルの初期投資が必要だった地上局インフラを、分単位の利用料金で利用できるため、衛星データの取得コストを大幅に削減します。受信したデータは EC2 インスタンスにリアルタイムでストリーミングされ、S3 への保存や即時の画像処理・分析パイプラインに接続できます。

衛星コンタクトのスケジューリングと地上局ネットワーク

Ground Station は世界 12 か所以上のリージョンに地上局を配置しており、低軌道衛星 (LEO) が地上局の可視範囲を通過するタイミング (パス) を自動計算してコンタクトをスケジュールします。コンタクトの予約は API またはコンソールから行い、衛星の軌道要素 (TLE) に基づいて利用可能なパスの一覧が表示されます。1 回のコンタクトは通常 5-15 分程度で、この間にアンテナが衛星を追尾しながらデータの送受信を行います。複数の地上局を組み合わせることで、1 日あたりのコンタクト回数を増やし、データ取得の頻度を向上させることが可能です。ミッションプロファイルの設定で、使用する周波数帯 (S バンド、X バンド)、帯域幅、変調方式、データフロー (受信データの送信先) を定義します。

データフローとリアルタイム処理パイプライン

衛星から受信したデータは、Ground Station のデータフロー設定に従って EC2 インスタンスにリアルタイムでストリーミングされます。EC2 インスタンスは地上局と同じリージョンの VPC 内に配置し、低レイテンシでデータを受信します。受信データの処理パイプラインとして、生のベースバンドデータを復調・復号して画像データに変換し、S3 に保存する構成が一般的です。地球観測衛星の場合、受信した光学画像やSAR (合成開口レーダー) データを SageMaker で解析し、農地の作物状態、森林の変化検出、海洋の油流出検知などの情報を抽出します。気象衛星のデータは Kinesis Data Streams で即時処理し、天気予報モデルへの入力として活用するパターンもあります。コマンドアップリンクでは、衛星への制御コマンド (姿勢制御、撮影指示、ソフトウェア更新) を地上局経由で送信します。

コスト構造と衛星コンステレーション運用

Ground Station の料金は、コンタクト時間 (分単位) とアンテナの種類 (口径) で決まります。自前で地上局を建設・運用する場合の年間数百万ドルのコストと比較して、必要な時だけ利用する従量課金モデルにより、特に小型衛星やスタートアップにとって参入障壁が大幅に低下します。衛星コンステレーション (数十〜数百機の衛星群) の運用では、各衛星のパスを自動スケジューリングし、地上局の利用を最適化するオーケストレーションが重要です。Step Functions で衛星ごとのコンタクトスケジュールを管理し、受信データの処理完了を待って次の衛星のコマンドを生成するワークフローを構築できます。AWS のエッジロケーションとの組み合わせにより、受信データを最寄りのリージョンで即時処理し、グローバルに分散した顧客にリアルタイムで配信するアーキテクチャも実現可能です。

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