AWS Ground Station で実現する衛星データ処理 - ダウンリンクから分析までのパイプライン
Ground Station による衛星通信のスケジューリング、データのダウンリンク、EC2 でのリアルタイム処理を解説します。
Ground Station の概要
Ground Station は世界 12 か所以上のロケーションから衛星通信のダウンリンクとアップリンクをマネージドに提供するサービスです。従来、衛星データの取得には数百万ドル規模の地上局の構築と運用が必要でしたが、Ground Station で AWS の地上局アンテナを従量課金で利用できます。世界各地のロケーションから衛星コンタクトをスケジュールし、EC2 でリアルタイムにデータを処理します。
コンタクトとデータ処理
コンタクトは衛星が地上局の上空を通過する時間帯に設定する通信セッションです。衛星の軌道情報 (TLE) を登録すると、利用可能なコンタクト時間帯が表示され、スケジュールを予約します。ダウンリンクデータは VPC 内の EC2 インスタンスに直接ストリーミングされ、リアルタイムで処理できます。地球観測衛星の画像データを受信し、EC2 で画像処理を実行して S3 に格納するパイプラインが典型的なユースケースです。
データフローとミッションプロファイル
ミッションプロファイルはコンタクト中のデータフローを定義します。アンテナからのダウンリンクデータを EC2 インスタンスにストリーミングし、リアルタイムで復調・デコード処理を実行する構成が基本です。データフローエンドポイントグループで受信先の EC2 インスタンスを指定し、セキュリティグループでデータフローのポートを許可します。 S3 への直接配信も可能で、大容量の衛星画像データを処理パイプラインに投入する場合に適しています。コンタクトの前後に CloudWatch Events が発行されるため、 Lambda で受信データの後処理 (S3 への保存、 SageMaker での画像分析) を自動トリガーできます。 Ground Station に関する詳しい解説はAmazon の関連書籍でも確認できます。
Ground Station の料金体系
Ground Station はコンタクト時間 (分単位) で課金されます。アンテナの帯域幅 (広帯域・狭帯域) とダウンリンク/アップリンクの種別で料金が異なります。広帯域ダウンリンクは 1 分あたり約 10 ドルで、1 回のコンタクト (通常 5-15 分) で 50-150 ドル程度です。従来の自前地上局の構築・運用コスト (数百万ドル) と比較すると、衛星運用の初期投資を大幅に削減できます。コンタクトのスケジューリングを最適化し、必要なパス (衛星が上空を通過する時間帯) のみを予約することでコストを制御します。複数の地上局ロケーションを活用して、1 日あたりのコンタクト回数を増やしつつ、各コンタクトの時間を短縮する運用も有効です。
まとめ
Ground Station は衛星通信のダウンリンクとアップリンクをマネージドに提供し、地上局の構築・運用コストを排除するサービスです。ミッションプロファイルでデータフローを定義し、EC2 でのリアルタイム処理や S3 への直接配信で衛星データの活用パイプラインを構築します。コンタクト時間の分単位課金で、従来の数百万ドル規模の地上局投資を従量課金に転換します。