AWS Compute Optimizer で実現するリソース最適化 - インスタンスのライトサイジング

CloudWatch メトリクスを ML で分析し、EC2 / Lambda / EBS / ECS Fargate のリソースサイズを最適化する推奨を生成する。Graviton 移行推奨と拡張メトリクスによる精度向上の活用法を解説します。

Compute Optimizer の概要

AWS Compute Optimizer は CloudWatch メトリクスを ML で分析し、EC2 インスタンス、Lambda 関数、EBS ボリューム、ECSFargate タスクのリソースサイズを最適化する推奨を提供するサービスです。過剰にプロビジョニングされたリソースを検出し、コスト削減の機会を金額で提示します。推奨は現在のパフォーマンスを維持しながらコストを削減する方向で生成されます。Trusted Advisor もリソースの最適化推奨を提供しますが、Compute Optimizer は ML で使用状況を分析し、具体的なインスタンスタイプの候補まで示します。Cost Explorer の推奨はリザーブドインスタンスや Savings Plans の購入の最適化を中心にしているのに対し、Compute Optimizer はリソースサイズの適正化に焦点を当てています。

推奨の種類と Graviton 移行

EC2 の推奨では、現在のインスタンスタイプと推奨タイプの比較、推定コスト削減額、パフォーマンスリスクが提示されます。推奨の例として、インスタンスファミリーの変更 (m5 → m6i)、サイズの変更 (xlarge → large)、Graviton への移行 (m5 → m6g) があります。AWS は、Graviton ベースのインスタンスは同等の x86 ベースの EC2 インスタンスと比べてコストが最大 20% 低いと公表しています (2026 年 10 月時点)。Lambda の推奨ではメモリサイズの最適化が提示され、過剰なメモリ割り当てを削減できます。Lambda はメモリに比例して CPU が割り当てられるため、メモリの最適化は実行時間の短縮にもつながります。EBS の推奨では gp2 から gp3 への移行、IOPS とスループットの最適化が提案されます。gp3 は gp2 と比較してベースライン性能が高く、IOPS とスループットを独立して設定できるため、gp2 から移るとコストを下げられる場合があります。

拡張メトリクスと推奨の適用

標準では過去 14 日間の CloudWatch メトリクスに基づいて推奨が生成されますが、拡張インフラストラクチャメトリクスを有効にすると 93 日間のデータに基づくより精度の高い推奨が得られます。月末のバッチ処理や四半期決算時のピークなど、短期間では捉えられない利用パターンを考慮した推奨が生成されます。推奨にはパフォーマンスリスクの評価が添えられ、リスクが低い推奨から優先して適用する進め方があります。定期的 (月次など) に推奨を確認し、段階的にインスタンスタイプを変える運用が考えられます。Organizations との統合で全アカウントの推奨を一元管理して、組織全体のコスト削減機会を可視化できます。

Compute Optimizer の料金

Compute Optimizer の基本機能は無料で利用できます。拡張インフラストラクチャメトリクス (93 日間のメトリクス分析) は有料で、リソースの稼働 1 時間あたり約 0.0003360215 ドルです (2026 年 10 月時点)。料金はリソースの数と稼働時間に比例するため、有効にする対象を長い期間のメトリクスが要るリソースに絞る使い方もあります。Datadog や Dynatrace などの APM ツールのメトリクスを、推奨の入力に加える機能が用意されています。

推奨の見方と判断

Compute Optimizer は、リソースが過剰か不足かを分析し、適切なサイズの候補を提示します。推奨を見る際は、提示される削減見込み額だけでなく、変更に伴う性能上のリスクも合わせて確認します。過剰なリソースは縮小してコストを下げられますが、不足しているリソースは増強しないと性能問題を招きます。推奨にはどのメトリクスを根拠にしているかが示されるため、自分のワークロードの特性と照らし合わせて妥当性を判断します。機械的に従うのではなく、ピーク時の負荷や将来の増加も踏まえて、推奨を採用するかを見極めることが重要です。

適用のワークフロー

推奨を適用する際は、いきなり本番に反映するのではなく、慎重な手順を踏みます。まず、対象のワークロードが推奨どおりのサイズで問題なく動くかを検証環境で確認します。特に縮小する場合は、ピーク時にも性能が足りるかを見極めます。問題がなければ、影響の小さいものから段階的に適用し、変更後の性能とコストを計測します。想定どおりの効果が出ているか、性能の劣化がないかを確認しながら進めます。一度に大量のリソースを変更すると影響の切り分けが難しくなるため、検証 / 段階適用 / 計測のサイクルを回すことが、安全な最適化につながります。

組織での継続的な最適化

リソースの最適化は一度きりではなく、継続的に取り組むべきものです。ワークロードは時間とともに変化するため、定期的に推奨を見直し、その時点で最適なサイズに調整します。複数のアカウントを運用する組織では、全体を横断して推奨を把握し、削減効果の大きいものから優先的に対処します。最適化を担当者個人の判断に委ねず、定期的なレビューのプロセスとして組織に組み込むことで、無駄なコストが蓄積するのを防げます。継続的な最適化の仕組みが、クラウドのコストを長期的に低く保つ鍵になります。

他のコストツールとの連携

Compute Optimizer は、他のコスト管理の手法と組み合わせることで効果が高まります。コストを可視化するツールで全体の支出傾向を把握し、Compute Optimizer で個々のリソースの最適なサイズを見極め、コミットメント割引で安定稼働分の単価を下げる、という具合に役割を分担させます。まずリソースを適正なサイズに調整してから、その安定した利用量に対して割引を購入すると、無駄なくコストを抑えられます。これらを組み合わせ、可視化 / 適正化 / 割引購入を一連のサイクルとして回すことが、体系的なコスト最適化の実践になります。

まとめ

AWS Compute Optimizer は ML ベースのリソース最適化推奨で、パフォーマンスを維持しながらコストを削減するサービスです。EC2、Lambda、EBS、ECS Fargate のリソースサイズを分析し、Graviton 移行を含む具体的な推奨を提示します。拡張メトリクスを有効にすると 93 日間のデータに基づく推奨が得られ、段階的な適正化の材料になります。

参考資料 (AWS 公式)

本ページの一次情報は AWS 公式サイトと公式ドキュメントです。最新の仕様と料金は次の公式ページで確認できます。

本ページと公式ドキュメントの記述が食い違う場合は、公式ドキュメントを正としてください。

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