AWS Application Migration Service
オンプレミスや他クラウドのサーバーを AWS にリフト & シフトで移行するサービスで、継続的レプリケーションによりカットオーバー時のダウンタイムを最小化する
概要
AWS Application Migration Service (MGN) は、物理サーバー、仮想マシン、他クラウドのインスタンスを AWS の EC2 インスタンスとして移行するためのサービスです。ソースサーバーにエージェントをインストールすると、ブロックレベルの継続的レプリケーションが開始され、OS やアプリケーションの変更なしにそのまま AWS へ移行できます。テスト起動とカットオーバーの 2 段階プロセスにより、本番切り替え前の動作検証を安全に実施できます。
エージェントベースのブロックレプリケーションが実現する無停止移行
AWS は製品ページで、AWS Application Migration Service の現在の名称を AWS Transform MGN と案内しています (2026 年 10 月時点)。MGN の移行プロセスは、ソースサーバーへの AWS Replication Agent のインストールから始まります。エージェントはディスクのブロックレベルで変更を検知し、AWS 側のステージングエリア (軽量な EC2 インスタンスと EBS ボリューム) に継続的にレプリケーションします。初回の全量同期が完了した後は差分のみが転送されるため、ネットワーク帯域への影響は限定的です。この継続的レプリケーションの間も、ソースサーバーは通常どおり稼働し、AWS 側のレプリカは継続的に更新されます。カットオーバー時にはレプリカから本番用の EC2 インスタンスを起動し、DNS やロードバランサーを切り替えます。Azure Migrate も同様のエージェントベースの移行を提供しています。
テスト起動とカットオーバーの 2 段階プロセス
移行の信頼性を確保するため、MGN はテスト起動 (Test) とカットオーバー (Cutover) の 2 段階を明確に分離しています。テスト起動では、レプリケーションされたデータから EC2 インスタンスを起動し、アプリケーションの動作確認、ネットワーク疎通テスト、パフォーマンス検証を実施します。テスト用インスタンスは本番とは独立した環境で起動されるため、ソースサーバーの稼働に影響を与えません。テストが成功したら、カットオーバーを実行して本番用インスタンスを起動します。起動テンプレートでインスタンスタイプ、サブネット、セキュリティグループ、IAM ロールなどを事前に定義しておくことで、カットオーバー時の手動設定を減らせます。カットオーバーのインスタンスに問題があった場合は、カットオーバーを取り消し、ソースサーバーの移行のライフサイクルの状態を「カットオーバーの準備ができた」へ戻す操作がユーザーガイドに記載されています。
大規模移行ウェーブの計画と Migration Hub との連携
数百台規模のサーバー移行では、移行対象をウェーブ (波) に分割し、依存関係のあるサーバー群を同一ウェーブにまとめて移行する計画を立てます。MGN はウェーブとアプリケーションの概念でサーバーをグルーピングでき、ウェーブ単位でテスト起動やカットオーバーを一括実行できます。Migration Hub との統合により、MGN での移行進捗が Migration Hub のダッシュボードに自動的に反映され、DMS によるデータベース移行と合わせた全体の進捗を一元的に把握できます。AWS は、Migration Hub が 2025 年 11 月 7 日の時点で新規顧客の受付を終えており、既存の顧客向けには進行中の移行のために運用を続けると告知しています。移行前のディスカバリフェーズでは、Migration Hub の Application Discovery Service や Agentless Collector を使ってオンプレミス環境のサーバー構成、依存関係、パフォーマンスデータを収集し、移行計画の基礎データとします。MGN 自体の料金は、サーバーごとにレプリケーションの最初の一定の期間が無料で、その後は時間に応じて課金されると公式の料金ページに記載されています (2026 年 10 月時点)。移行の間に使う EC2 インスタンスや EBS ボリュームなどの料金は別にかかります。ステージングエリアのレプリケーションサーバーには、既定で t3.small が使われるとユーザーガイドに記載されています。
参考資料 (AWS 公式)
本ページの一次情報は AWS 公式サイトと公式ドキュメントです。最新の仕様と料金は次の公式ページで確認できます。
本ページと公式ドキュメントの記述が食い違う場合は、公式ドキュメントを正としてください。