コスト削減戦略 - Savings Plans と Reserved Instances の比較と選択

AWS Savings Plans と Reserved Instances (RI) の仕組み・割引率・柔軟性を比較解説。Compute ・ Database ・ EC2 Instance ・ Amazon SageMaker AI の 4 タイプの使い分けと購入戦略を紹介します。

コミットメント割引の基本概念

AWS の料金モデルでは、オンデマンド料金が基本ですが、一定期間の利用をコミットすることで大幅な割引を受けられます。コミットメント割引には Savings Plans と Reserved Instances (RI) の 2 つの仕組みがあります。RI は 2009 年から提供されている従来型の割引で、特定のインスタンスタイプ・リージョン・テナンシーを指定して予約します。Savings Plans は 2019 年に導入された新しい割引モデルで、1 時間あたりの使用金額 (USD/時) をコミットする方式です。たとえば「1 時間あたり 10 USD のコンピュート使用をコミットする」と宣言すると、その金額分の使用に対して割引が自動適用されます。Savings Plans は RI と比較して柔軟性が高く、AWS は新規のコミットメント割引として Savings Plans を推奨しています。ただし RI が廃止されたわけではなく、特定のユースケースでは RI の方が高い割引率を得られる場合もあります。

Savings Plans の 4 タイプ

Savings Plans は 4 つのタイプを提供します (2026 年 8 月時点・公式の Savings Plans types ページ記載)。Compute Savings Plans は最も柔軟なタイプで、EC2 インスタンス、Fargate タスク、Lambda 関数に横断的に適用されます。インスタンスファミリー、サイズ、リージョン、OS、テナンシーを自由に変更しても割引が継続します。割引率はオンデマンド比で最大 66% です。EC2 Instance Savings Plans は特定のリージョンとインスタンスファミリー (例: ap-northeast-1 の m5 ファミリー) にコミットする代わりに、最大 72% の高い割引率を提供します。同一ファミリー内のサイズ変更 (m5.large → m5.xlarge) や OS 変更は自由です。Database Savings Plans はデータベース系サービスの使用量に適用されるタイプで、最大 35% の割引を提供します (詳細は次節)。Amazon SageMaker AI Savings Plans (旧称 SageMaker Savings Plans) は SageMaker AI のインスタンス使用に特化したタイプで、インスタンスファミリー・サイズ・リージョン・コンポーネント (ノートブック、トレーニング、推論など) をまたいで最大 64% の割引が適用され、ML ワークロードのコスト最適化に使用します。コミットメント期間は 1 年または 3 年で、支払いオプションは全額前払い (最大割引)、一部前払い (中間)、前払いなし (最小割引) の 3 種類です (例外として Database Savings Plans は 1 年・前払いなしのみ)。3 年・全額前払いが最も高い割引率を得られますが、柔軟性とのトレードオフです。

Database Savings Plans とデータベース系の選び方

Database Savings Plans は、データベース系サービスの使用量に対して最大 35% の割引を提供するタイプです (2026 年 8 月時点)。対象は AuroraRDSDynamoDBElastiCacheDocumentDBTimestreamNeptuneKeyspaces、DMS、OpenSearch Service で、最新世代のプロビジョンドインスタンスであればエンジン、インスタンスファミリー、サイズ、アベイラビリティゾーン、リージョンを問わず自動適用され、サーバーレスの使用量にも適用されます。そのため Aurora の db.r7g から db.r8g への移行、RDS for Oracle から Aurora PostgreSQL 互換エディションへの移行、RDS から DynamoDB へのワークロード移動といった構成変更をまたいでも割引が維持されます。データベース系のコミットメント割引にはリザーブドインスタンス (RDS・ElastiCache・OpenSearch Service・Redshift の予約インスタンス (ElastiCache と Redshift ではリザーブドノードの名称)、DynamoDB の予約キャパシティ) もあり、こちらは対象を固定する代わりにサービスごとの高い割引率が得られる場合があります。エンジンやサービスの移行、サーバーレスへの切り替えを見込むなら Database Savings Plans、構成を固定したまま長期運用するなら該当サービスのリザーブドインスタンス、という住み分けで検討すると選びやすくなります。

RI との比較と使い分け

Savings Plans と RI の主な違いは柔軟性と割引率のバランスです。 RI はインスタンスタイプ (Standard RI) またはインスタンスファミリー (Convertible RI) を固定するため、ワークロードの変化に対応しにくい反面、 Standard RI は最大 72% の割引率を提供します。 Convertible RI は交換可能ですが割引率は最大 66% に下がります。 Savings Plans の Compute タイプは RI の Convertible と同等の割引率ですが、リージョンやサービス (EC2/Fargate/Lambda) をまたいで適用できる点で優れています。実践的な使い分けとして、 24/7 稼働する本番 DB サーバーなど確実に使い続けるインスタンスには EC2 Instance Savings Plans (または Standard RI) で最大割引を狙い、開発環境やバッチ処理など構成が変わりうるワークロードには Compute Savings Plans で柔軟性を確保する戦略が有効です。 Savings Plans と RI は併用可能で、割引の適用順序は RI → Savings Plans の順です。

購入戦略と Cost Explorer の活用

Savings Plans の購入で最も重要なのは、適切なコミットメント額の決定です。Cost Explorer の Savings Plans 推奨機能は、過去 7 日・ 30 日・ 60 日の使用パターンを分析し、最適なコミットメント額と推定削減額を自動算出します。推奨に従って購入するのが最も安全ですが、いくつかの注意点があります。まず、過去の使用量が将来も継続する前提であるため、大幅なワークロード変更が予定されている場合は推奨値を調整する必要があります。次に、購入額を自分の勘で決め打ちしないことです。推奨画面には、選択した期間の使用量から見た月間オンデマンド支出、推奨額で購入した場合の推定月間支出、推定月間削減額が併記されるため、コミットの過不足が金額でどう出るかを購入前に把握できます。同じ推奨値は Cost Explorer API の GetSavingsPlansPurchaseRecommendation でも取得でき、分析期間や支払いオプションを変えた複数案を比較できます。未使用のコミットメント分は割引に使われず無駄になるため、使用量の谷が深いワークロードでは推奨額を一度に満額購入せず、確実に残る底の部分をコミットしてから実績を見て追加購入するほうが安全です。Savings Plans の使用率とカバレッジは Cost Explorer と Budgets で継続的に監視します。使用率が 100% を下回っている場合は過剰購入、カバレッジが低い場合は追加購入の検討が必要です。

コミットメント割引の料金比較

(以下の割引率は 2026 年 8 月時点の公式値です。最新の値は Savings Plans ユーザーガイドの Savings Plans types ページと Savings Plans の料金ページで確認してください。) Compute Savings Plans は EC2・Fargate・Lambda に横断的に適用され、最大 66% の割引です。EC2 Instance Savings Plans は特定のインスタンスファミリーとリージョンに限定されますが、最大 72% の割引です。Database Savings Plans は Aurora・RDS・DynamoDB・ElastiCache などのデータベース系サービスに適用され、最大 35% の割引です。Amazon SageMaker AI Savings Plans は SageMaker AI の使用量に適用され、最大 64% の割引です。RI (Reserved Instances) は EC2 のほか RDS・ElastiCache・OpenSearch Service・Redshift の予約インスタンス (ElastiCache と Redshift ではリザーブドノードの名称)、DynamoDB の予約キャパシティとして提供されており、EC2 では Standard RI が最大 72%、Convertible RI が最大 66% と Savings Plans と同等の水準ですが、対象を固定するため柔軟性は低いです。安定したベースラインを EC2 Instance プランで、変動分を Compute プランでカバーする組み合わせが効果的です。

まとめ - コミットメント割引の選択指針

AWS Savings Plans は、柔軟性の高いコミットメント割引モデルとして、RI に代わるコスト削減の主力手段です。Compute Savings Plans は EC2 ・ Fargate ・ Lambda に横断的に適用でき、ワークロードの変化に強い柔軟性を持ちます。EC2 Instance Savings Plans は特定のインスタンスファミリーに限定される代わりに高い割引率を提供します。データベース系には Database Savings Plans があり、サーバーレスの使用量まで含めて最大 35% の割引が適用されます。Cost Explorer の推奨機能で最適なコミットメント額を算出し、確実に残る使用量からコミットして実績を見ながら追加購入するアプローチが安全です。導入を判断する基準は支出額の大きさではなく、その使用量が今後も安定して続く見込みがあるかどうかです。最小コミットメント額に実質的な下限はなく、1 時間あたりごく小額のコミットメントからでも購入できるため、規模が小さくても常時稼働している使用量があれば検討する価値があります。

参考資料 (AWS 公式)

本ページの一次情報は AWS 公式サイトおよび公式ドキュメントです。最新の仕様 / 料金は次の公式ページで確認できます。

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